2018年の平昌五輪から正式種目となるカーリングのミックスダブルス。平昌五輪のトライアルを兼ねた世界選手権(4月22日〜29日)がカナダ・アルバータ州レスブリッジで開催され、3月の日本選手権を制した阿部晋也&小笠原歩ペアが日本代表として出場した。


ミックスダブルス世界選手権に挑んだ阿部晋也(手前)&小笠原歩ペア 結成して、わずか2カ月というペア。慣れないアイス、まだ見ぬ世界のミックス専門ペアの戦い方に戸惑いはあったものの、阿部が「強化に割いた時間は短いけれど、やれるだけのことはやった」と語ったように、パートナーの小笠原と密にコミュニケーションを取りながら、大会ではキーショットを我慢強く決めていった。

 そして、8チームによる総当たりの予選リーグ、3勝3敗で迎えた最終戦のフィンランド戦に勝てば、タイブレイクに進める状況となった。しかし、フィンランドの勇気と幸運なフィニッシュにも泣かされて、日本は4-6で敗れて予選敗退。同時に平昌五輪への道も途絶えた。

 大会後、小笠原は「(ミックスカーリングを)やってみて、どのチームも強かったし、ゲーム性の高い魅力的な競技だということを再認識しました。世界戦のアイスに立てて楽しかったです」と、今回新たな経験ができたことに改めて感謝の意を口にした。一方で、今後もミックスダブルスの舞台でプレーするかどうか聞かれると、「私には愛するチームの仲間がいるから」と、来季からは再び所属の北海道銀行フォルティウスでのプレーに専念することを示唆した。

 それでも、ミックスダブルスという競技については、その可能性を大いに認める。「(日本も)挑戦し続けるべき。毎年、同じチームが世界で経験することが大事」と主張する小笠原に、阿部も同調してこう語る。

「しっかりとしたチームのスタイルを持って臨めば、(日本も世界で勝てる)チャンスがあると思う」

 今回の世界選手権で、カナダや中国など上位に入ったいくつかのチームは、日本と同じように4人制の有力チーム所属の、技術の高い選手で結成したペアだったが、ミックス専門のチームも多く、昨年の王者であるロシアや、日本が勝てなかったハンガリー、ラトビアなどがそうだった。

 後者は、戦術面に長(た)けていた。エンドごとの点差や調子の善し悪しによって、男女の投げる順番を入れ替えるなど、ショットやプランの幅広い選択肢と、ゲームの流れを読んだ高いアジャストメント能力を発揮して勝ち進んだ印象がある。

 その辺りを踏まえて、日本はミックスダブルスの強化策を今後どう考えていくのか。ミックス専門チームを中心に強化していくのか。それとも、今回のように4人制の有力チームからピックアップしたペアも含めて、それぞれがしのぎを削る形での強化を目指すのか。

 今回、代表チームに帯同し、チームのサポートと大会の視察を果たしたJCA(日本カーリング協会)の柳等(やなぎ・ひとし)強化委員長に質問すると、こう回答した。

「基本的には、4人制とミックスダブルスの風通しをよくしていこうと考えています。今回の”チーム阿部”の挑戦は、従来のミックスのペアにも大きな刺激を与えてくれたでしょう。世界と戦えるチームを作るため、今回の(4人制の選手がミックスに出場するための)推薦枠設置という方法も含めて、最善のシステムを構築していきたい」

 その一環として、まずは9月にニュージーランドで開催されるウィンターゲームスに強化指定ペアを派遣する方針だ。その他にも「積極的に海外のボンスピル(大会や試合)に参加できる環境を整えていきたい」と、柳委員長は語る。

 今回の阿部&小笠原ペアの敗退は残念だったが、日本選手権を制した彼らが負けたのであれば、それが今のミックスにおける日本カーリング界の”現在地”であることは、誰も否定できない。しかしながら、技術や経験において国内トップクラスのカーラーペアーが世界に挑み、そこで世界との距離感や不足部分、ミックスの戦術や必要なショットの情報を得た。さらに、彼らのようなスター選手が出場することによって、メディアも動き、周知や普及といった役割を果たしてくれた。その価値は計り知れない。

 2カ月限りのペアであったが、彼らが体感し得たものを、彼らはもちろん、協会が強化案としてきちんとフィードバックしていくことが大切である。今回の挑戦が、2022年北京五輪に向けて有意義なものになることを切に願う。

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