シェイク シャック創業者が語る「サービスとホスピタリティの違い」

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東京・外苑前を皮切りに2020年までに全国10店舗展開を目指す、NY発のハンバーガーレストラン「シェイク シャック」。1台のホットドッグカートから世界118店舗まで成長した秘密に迫った。

タイム誌で「歴史上、最も影響のある17のバーガー」に選ばれ、「ハンバーガー業界のテスラ」との異名もとるシェイク シャック。現在12カ国、計118店舗を展開中だが、その始まりは2001年夏、荒廃していたNYのマディソン・スクエア・パークに現れた1台のホットドッグカートだった。

創業者のダニー・マイヤーは、当時すでにユニオン・スクエア・カフェ、グラマシー・タバーンなど、予約の取れない人気レストランを経営する起業家。NY市の文化事業局とともに「キャンペーン・フォー・ニュー・マディソン・スクエア・パーク」をスタートさせ、公園を使ったアートイベントを開催した。その際、「世界中で最も民主主義的なのはタクシーとホットドッグ」というテーマで、公園の南端にタイ人アーティストによる作品「アイラブタクシー」とホットドッグカートが並んだわけだ。

「人を惹きつける魅力ある公園にしたかった」とマイヤーはその動機について話す。

「そのころは刑務所行き寸前みたいな人たちがたむろしていた。私たちは公園を安全な場所に再構築して、人々にとっての憩いの場所にすべきだと思ったんです」。

ホットドッグの屋台を始めるにあたって大切にしたのは、「高いクオリティとホスピタリティ」。マイヤーは、シカゴのビエナ・ビーフからソーセージを取り寄せ、バンズもシカゴのケシの実パンを採用、トッピングにもこだわった。また経営するイレブン・マディソン・パークのマネジャーに運営を任せ、同店の冬季クロークを担当している者を店舗スタッフとして雇った。

夏季限定の屋台は初年度こそ約5,000ドルの赤字を出したが、翌年は黒字化に成功し、売り上げを公園に寄付。3年目には開店と同時に70人以上が並ぶ名物となり、公園には活気が戻った。功績を評価したNY市は常設店のオープンを打診、04年にシェイク シャック1号店が公園内に誕生する。チェーン化の予定はなかったが、好評を受け、その後アメリカ全土で展開された。

サービスとホスピタリティの違い
 
マイヤーは1985年、27歳で最初の店ユニオン・スクエア・カフェを創業し、現在では15レストランを傘下に収めるユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループのCEOだ。「新しいレストランが10時間ごとにオープンし、10時間ごとに消えていく」と称されるNYで、閉めた店はインド料理店タブラしかない。その成功の秘訣は「サービスとホスピタリティの違いを理解すること」。

「サービスは”独り言”、ホスピタリティは”対話”なんです。つまり、サービスは技術的な要素で、マニュアル通りにやれば誰でもうまく提供できる。ホスピタリティはもっと感情的な要素で、お客様が何を望んでいるかを考え、行動しなければならない。いわば、前者は楽譜通りにきちんと演奏すべきクラシック音楽であり、後者は毎回違うセッションになるジャズみたいなもの。素晴らしいサービスとホスピタリティどちらも揃ってこそ、最高の店になれるのです」

しかし、スタッフ各個人のホスピタリティが常に成功して、お客様に感動とサプライズを与えられるとは限らない。最近マイヤーが受け取った2通の手紙は、そのことを如実に物語る。

1通目は、バケーションでNYに訪れたカップルからの感激の手紙。彼らは「Danny Dine Around(マイヤー経営の全レストランを制覇すること)」を実行、シェイク シャックは最終日のJFK空港で行く予定だった。しかし、フライトの変更によりターミナルが変わり、「シェイク シャックが食べられない! 無念だ」というツイートをしたところ、なんと空港のシェイクシャックのスタッフが彼らのターミナルまでハンバーガーを届けたのだという。