パートやアルバイトというような非正規雇用が増え続けている現代。いわゆるフリーターと呼ばれているアルバイトやパート以外に、女性に多いのが派遣社員という働き方。「派遣社員」とは、派遣会社が雇用主となり、派遣先に就業に行く契約となり派遣先となる職種や業種もバラバラです。そのため、思ってもいないトラブルも起きがち。

自ら望んで正社員ではなく、非正規雇用を選んでいる場合もありますが、だいたいは正社員の職に就けなかったため仕方なくというケース。しかし、派遣社員のままずるずると30代、40代を迎えている女性も少なくありません。

出られるようで、出られない派遣スパイラル。派遣から正社員へとステップアップできずに、ずるずると職場を渡り歩いている「Tightrope walking(綱渡り)」ならぬ「Tightrope working」と言える派遣女子たち。「どうして正社員になれないのか」「派遣社員を選んでいるのか」を、彼女たちの証言から検証していこうと思います。

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今回は、都内で派遣社員として働いている田中佳苗さん(仮名・29歳)にお話を伺いました。佳苗さんは少し明るめの茶髪をゆるく巻いたロングウェーブの髪型に、レース柄の紺のカットソーに白のクロップド丈のスカーチョを合わせていました。足元は白のヒールサンダル、ピンクベージュのショルダーバッグは、女性らしい印象を受けました。手元に置いていたスマホケースも、可愛らしいピンク色のリボン柄で、指先もピンク色のジェルネイルが施されていました。

「ジェルネイルは、安く仕上げるために自分でやっています」

男性受けがよさそうなファッションの彼女ですが、恋愛はどうなのでしょうか。

「今は付き合っている人がいないのですが、31歳くらいまでには結婚したいです」

“結婚するまで地元に戻れない”と言う佳苗さん。そんな彼女に、どうして派遣で働いているのか聞いてみました。

佳苗さんの出身地は、宮城県北部の沿岸部。飲食店と美容院を営む両親、3歳下の弟と一緒に育ちました。

「親戚もみんな同じ地域に住んでいたので、顔見知りの人に囲まれる場所で育ちましたね。親は、同じ敷地内で昼間は美容院、夜は空きのスペースを使ってスナックのようなものをやっていました」

幼少期は、派手なファッションの母親を、周りからからかわれることが多かったそう。

「スナックをやるくらいだったから、母親が陽気だったんですよ。私が子供の頃から金髪で、授業参観とかで母が来るのが嫌で。中学までは地元の公立に通っていたのですが、高校は越境して私立に進学しました」

元々、オシャレや友達と遊ぶのが好きだった佳苗さん。高校生活は楽しかったと言います。

「やっぱり仙台まで出ると、凄く都会なんですよね。なんでもお店もあるし。通学が1時間以上かかったり、終電が早くてみんなと遅くまで遊べなかったりしたのもあって、大学は家を出ようって思いましたね」

卒業後は就職することを親と約束し、大学に進学します。

「大学は付属だったので、そのまま進学できたんですよ。地元ではまあまあ有名なところだったので、親も家を出るのを許してくれて。学生寮に入って、学校帰りに友達と遊びに行ったり、バイトしたり学生生活を満喫していましたね」

地元を中心に就活を行い、無事内定を貰います。

「自動車販売店の東北支社に就職しました。女子大だったので、わりとのんびりしていたというか。周りは25歳くらいには結婚しだす人も多かったので、自分もそんな感じかなって思って」

女性らしい雰囲気がわざわいしてストーカー被害に……

20代での結婚を夢見ていた佳苗さん。男性から言い寄られることも多かったそう。

「男性が多い職場だったので、結構モテたりしました。でもなかなか結婚まで行かず。大学を出た後は、一人暮らしをしていたのですが、仕事関係で知り合った男性がストーカーになってしまって。郵便物を荒らされたり、ドアノブに食べかけの食べ物が掛かっていたり。嫌がらせをされたりしましたね」

嫌がらせをきっかけに、引っ越しや仕事を変えることを検討します。

「大学時代の同級生もぼちぼち結婚しだして。焦りもあったんでしょうね。仕事を辞めて、ワーキングホリデーにでも行こうかなって思ったんですよ」

大学を卒業後も、同級生たちとの交流が続いていたと言います。

「母校が、ホームカミングデーというのを定期的に開催しているんですよ。親子三代で同じ学校に通ったっていう人もいるくらい伝統があるので、卒業してからも、同級生との繋がりがあるんですよ。同窓会が苦痛って言うか。学校出てすぐだと、恋愛話とかで盛り上がったりできたのですが、ここ数年は結婚ネタが多くて、報告することがないと行きづらくて」

地元から仙台での生活を経て、上京を決心します。

「ワーホリもいつかは戻ってこなきゃならないし、費用を考えたら東京で働こうかなと思い始めました」

地元に戻ると、同級生たちと女子会を行う。最近は話のネタは恋愛より、子供の成長ネタが中心のため、居心地が悪いそう。

上京し入社した会社で不倫。周りにバレて仕事を退社し派遣へ……。その2に続きます。