フィンテックが変える「贈り物」の概念 ギフトはモノの枠を超える

写真拡大

欲しくないものをもらったり、贈ってしまったりすることはよくある。米国人がやりとりする「望まれない贈り物」に費やされる金額は、年間95億ドル(約1兆円)に上るとされている。

当然ながら、欲しくないからといってギフトを相手に返すことはあり得ない(その人と縁を切りたいなら別だが)。だが、テクノロジー(フィンテック)の進歩のおかげで最近では、ギフト業界にもさまざまな革新的ソリューションがもたらされている。

電子商取引におけるギフト関連のサービスを提供する米ジフィティ(Jifiti)によれば、何かを贈るときには慎重さが必要である一方、柔軟性も必要だ。そして、ギフトにはそれらのいずれも持たせることが可能だ。

「電子版の商品カタログとギフトカードの発行を組み合わせることで、実現が可能だ。受け取る側がいつどこで、どのようにギフトを受け取るか、あるいは何を受け取るかまで、選ぶことができる」

その「柔軟性を持たせる」というニーズに対応する企業は、すでにいくつも登場している。ジフィティのほか、ウエディング・ギフトを専門に扱うゾラ(Zola)、小売各社のウェブサイト上でのギフトのやり取りを可能にするマーコール(Marcole)などといったスタートアップ企業が、テクノロジーを活用した贈り物を実現するためのサービスを提供している。

贈るのは「モノ」より「ソリューション」に 

何かを贈るということにおいて、大切なのは確かに気持ちだ。だが、それでも出費が伴うものであり、実質的には金銭的価値のやり取りだ。例えばギフトカードなら、現金と同じようにモノやサービスの購入に使うことができる。

実店舗を構える大手小売業者の多くは、実際にカードを発行する独自のシステムを設けており、インターネット販売では多くの業者がポイント付与などのシステムを導入している。そして、こうした各社のプログラムは徐々に、アプリを利用するものに変わってきている。

例えば、スターバックスはオムニチャネル化を実現しており、プリペイドカード(ギフトカード)は実店舗での支払いに使えるほか、インターネット上やアプリを通じての利用も可能だ。

米国のギフトカード市場の規模は、少なくとも1300億ドルと見積もられている。米企業のためにフリーランスで働く国外在住者の中には、煩雑な手続きを避けるためにギフトカードで報酬を受け取っている人もいる。また、ギフトカードを従業員への報奨金として使っている企業もある。

ただ、これらについては関連法への注意が必要だ。さらに、金銭的価値があるその他の全てのものと同様、安全性に関する懸念もある。手元にあるギフトカードを何とか使いたいと考えている人を狙った詐欺も多発している。

ギフトカードが現金の代わりに使われたり、デジタル・ウォレットとつながったりすることが増えるとともに、詐欺などの問題も増加するだろう。サイバー攻撃の最大の標的となってきているのは、銀行口座とつながったオートチャージ(自動入金)機能付きのカードだ。

そして、こうした被害に対応するための機能を提供するのもまた、フィンテックだ。ジフィティなどは、顧客の行動、ウェブサイトやモバイルアプリなどから集めたデータから作るデジタルフットプリント、取引データなどから不正な取引を検知・拒否すると同時に、顧客自身による利用に障害が生じることを最低限にとどめるシステムを提供している。

小売業における取引は、ますますキャッシュレス化している。ギフトカードの利用対象は増え、カード自体の有用性も高まり続けるだろう。近い将来、現金と変わらない使い方ができるようになると考えられる。