photo by Patrick via flickr(CC BY 2.0)

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 現地時間4月18日に発表した米IBMの2017年第1四半期(1〜3月)決算は、売上高が181億5500万ドルで前年同期から2.8%減少し、20四半期連続の減収となった。

 筆者には、IBMの“20四半期連続の減収”、すなわち5年間にもおよび売上の減少が、なかなか理解しづらいものがある。なぜなら、IT産業は過去5年間、成長を続けてきており、今後も成長が予想されているからだ。

 総務省によるICT産業(Information and Communication Technology;インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー。情報通信技術)のグローバルトレンドの見解では、“世界のICT支出額10は、2014年時点で約1.9兆ドルであり、2019年までに年平均成長率6.9%と堅調に拡大することが見込まれている。市場規模としては北米地域が最も大きく、次いでアジア太平洋地域であり、大規模な事業者が拠点をおく先進国における市場が引き続き牽引すると予想される”としている。(参照 :「総務省」)

 投資家の視点からは、企業業績は売上ではなくEPS(1株当たり利益)を見るべきと言いたいところであるが、上記の売上減少の動きと合致するかのように、IBMの株価は、5年前の2012年が200ドルであったのに対して、その後、株価は下がり、5月1日時点で158ドル台となっている。ちなみに、EPSは2012年に14ドル台であったものが、現在12ドルまで下がっている。

◆セグメント別収益はどうなっている?

“IBM Reports 2017 First-Quarter Results”から、IBMの2017年第1四半期(1〜3月)決算の内訳を見ていきたい。

“Strategic Imperatives”(戦略的必須事項)と呼ばれる事業カテゴリーについては、”第1四半期のクラウド事業売上は33%増の35億ドル。過去12か月間のクラウド事業売上は146億ドルであった。クラウド・アズ・ア・サービスの年間売上は、2016年第1四半期の54億ドルから86億ドルに増加した。アナリティクスの売上は6%増加した。モバイルの売上は20%増加し、セキュリティの売上は9%増加した。”とある。

 上記の通り、IBMのクラウド、アナリティクス、モバイル、セキュリティ事業は拡大している。

 第一四半期のセグメント別の収益については

●“コグニティブソリューション(ソリューションソフトウェアとトランザクション処理ソフトウェアを含む) - 売上高は41億ドルで、アナリティクスおよびセキュリティ事業の成長に支えられ、2.1%増となった。これにはワトソン関連サービスが含まれる”

●“グローバル・ビジネス・サービス(コンサルティング、グローバル・プロセス・サービスおよびアプリケーション管理を含む) - 売上高は3.0%減の40億ドル。戦略的必須事項は、クラウドおよびモバイルのプラクティスによって2桁台の数字を伸ばした”

●“テクノロジーサービス&クラウドプラットフォーム(インフラストラクチャサービス、テクニカルサポートサービス、インテグレーションソフトウェアを含む) - ハイブリッドクラウドサービスによって推進される戦略的必須事項の強い成長により2.5%減の82億ドルの売上”

●“システム(システムハードウェアとオペレーティングシステムソフトウェアを含む) - 売上は14億ドルで、16.8%減であった”

●“グローバル・ファイナンシング(ファイナンスおよび中古機器販売を含む) - 売上高は405百万ドル(1.2%減)となった”

 としている。
 これを見てみると、セグメント別では、コグニティブソリューション事業のみプラス成長であった。別の言い方をすると、コグニティブソリューション事業以外はマイナス成長であった。楽観的にはなれない状況と言っていいだろう。戦略的必須事項の事業は伸びているので、戦略的必須事項でない事業の落ち込みが大きいとも言えるだろう。

◆バフェットはなぜIBMに投資しているか?

 投資家のウォーレン・バフェット氏は、IBMに投資している。

 2016年12月時点、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャ・ハサウェイのポートフォリオは、上位から、クラフト・ハインツ(KHC)19.21%、ウェルズ・ファーゴ(WFC)17.86%、コカコーラ(KO)11.21%、アイビーエム(IBM)9.11%、アメリカン・エクスプレス(AXP)7.59%、フィリップス66(PSX)4.71%、アップル(AAPL)4.49%となっており、IBMは9.11%の構成比を占める。(参照:マネックス証券「iBillionaire」 )

 IBMの売上、EPS(1株当たり利益)、株価動向からみると、バフェット氏によるIBMへの投資が妥当なものなのかについては、現時点では、はっきりと妥当なものであるとは言えないと思われるが、ワトソン関連サービスを含む戦略的必須事項と呼ばれる事業の今後の成長が期待されているのであろう。IBMは自社株買いや増配も行ってきており、株価だけを見ていても判断を誤るだろう。バフェット氏もしばらく忍耐が必要なのかもしれない。

<参照/丹羽唯一朗 photo by Patrick via flickr(CC BY 2.0) >