ブックオフの店舗(「Wikipedia」より)

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 中古本販売大手のブックオフが業績不振に苦しんでいる。同社は2017年3月期決算で4億円の連結営業赤字を見込んでおり、前期(同5億3000万円の赤字)から2期連続赤字となる見通し。4月10日には、その責任を取り松下展千社長が代表権のない取締役に退き、堀内康隆取締役執行役員が社長に昇格したと発表した。旧来の古本屋とは異なり、新刊本も発売からそれほど時を経ずに安く買える「新古書店」というコンセプトで全国に店舗を広げたブックオフに今、何が起きているのか。出版ジャーナリストの佐伯雄大氏はこう語る。

「ブックオフで扱っている書籍の主力商品は、コミック。このコミック業界で、大きな変革が起こっています。電子版コミックの台頭です。電子書籍のシェアの8割はコミックで、講談社の今年2月期の決算では、紙の売上不振をデジタル収入でカバーして増収増益になりました。そのなかでも、電子版コミックが主力選手なのは言うまでもありません。しかし、紙のコミックの売上は落ちています。電子版コミックは進化していて、1冊1冊を販売するモデルはもう古い。マンガボックスやマンガワン、ピッコマなどライフ回復系アプリと呼ばれるコミックアプリが人気です。購入当日は1話目を無料で読めるが、2話目以降は翌日にならないと無料では読めない。つまり、1日たてばライフが回復するのでライフ回復系アプリと呼ばれています。

 1話目を無料で読んで2話目を翌日まで待てないという人も多い。低価格なので、ついつい2話目以降を買ってしまう読者も多いのです。また、旧作を無料にしている電子マンガサイトも多いです。コミックは小説とは違って、1巻数十分で読めてしまう。それが電子版コミックが隆盛した要因です。つまり、2巻目、3巻目と家にいながら次々と読むことができる。新刊書店では中々置いていない旧作の全タイトルを置いているところがブックオフの強み。当然、旧作や名作がネットで次々読むことができれば、そちらへ流れるでしょう」

 では、コミック以外の書籍はどうなのだろうか。

「10年以上前から出版不況といわれ、本の流通量が減っているので、中古業界にも響いてくるのは当然です。電子書籍はそれほど影響はないが、ネット通販ではどの程度の状態の中古本がいくらで買えるのか、見比べて買える。こうした変化はブックオフも見越しており、昨年ヤフーと提携しました。店舗でだぶついている在庫をネットで売るのですが、ヤフーという大きなサイトと自社サイトでは集客力に大きな差があるので、ネット販売のほうは伸びているはずです」(同)

●リユース家電販売に活路

 厳しい市場環境に置かれたブックオフだが、このまま衰退していくのだろうか。

「ヤフーや大日本印刷、講談社、小学館、集英社などが資本参加していて、経営母体としては、しっかりしているといえます」(同)

 新刊を出す出版社と、新古書を売るブックオフとは、敵対関係ともいえる。大日本印刷にしても、古書の売買からは1円の利益も得られない。なぜこうした企業が資本参加しているのか。

「新刊をあまり早めに売らせないなど、いろいろな思惑があって、経営に口を出せるようなかたちを取りたいのだと思います。中古本業界がここまで大きくなったので、新刊市場になるべく影響を与えないようなハンドリングをしたいという考えがあるのでしょう」(同)

 ブックオフは、どのような生き残り戦略を描いているのか。

「家電にシフトしようとしています。リユース家電の販売は、アマゾン、楽天市場、ヤフーなどが扱っていますが、飛び抜けた一強がいない。ブックオフはヤフーと資本提携したということもあって、一強を目指そうとしているのです。そのために人を増やして店も増やそうとしたのが、前期の赤字の一番の理由です。売上は予想通りだというので、今後は黒字に転換していくかもしれません」

 ブックオフから足が遠のいているうちに、いつの間にかリユース家電店になっていたというのも、なんだか寂しい気がする。
(文=深笛義也/ライター)