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デジタル世代の身の丈に合った腕時計選び



腕時計はなんとなく欲しいけど、何を買っていいのか分からないという読者のために。業界で”ハカセ”と呼ばれる、腕時計ジャーナリスト広田雅将の腕時計選び指南書『デジタル世代の身の丈に合った腕時計選び』。

ルミノックスはアメリカ軍御用達のミリタリーウォッチメーカー



今でこそ「高級時計雑誌」の編集長になったというか、ならされてしまったが、もともとはガジェット好きで、デジタル好きのフリーライターだった。仕事柄、取り上げる時計はほとんど機械式になってしまったが、昔のようにさまざまな時計を書きたい、と思っていた。そんなとき、『デジモノステーション』さんに、クォーツやデジタルウォッチについても書きませんか? と誘われたら、断る理由がない。

「デジタル世代の身の丈に合った腕時計選び」第一回に、何を取り上げるか迷ったが、ルミノックスの『ネイビーシール 3000 SERIES Ref.3001 XQ』(以下、『Ref.3001 XQ』)に決めた。理由は、筆者がこの時計を買ってしまったからだ。

時計を知らなくても、ルミノックスという名前は聞いたことがあるだろう。アメリカ軍御用達の、ハードなミリタリーウォッチメーカーである。このメーカーが軍用時計として高名な理由は、光を当てずとも自発光するトリチウム管(LLT)のおかげだ。LLTを針と文字盤に使うことで、ルミノックスはミリタリーウォッチとして不可欠な、暗がりの中での視認性を持つに至ったのである。ちなみに多くの時計メーカーが採用する夜光塗料は、スーパールミノバだ。これは自発光ではなく、当てた光をため込み発光する素材である。LLTとルミノバ、どちらが優れているかは判断しがたいが、10年以上連続して発光し続けるのが前者、発光時間は短いが、光量が大きいのは後者といえる。ルミノックスがLLTを採用したのは、暗がりの中で活動し続ける軍人を想定したためだろう。

「ネイビーシール3000 SERIES」は、暗がりでも常時光るLLTに、200mという高い防水性能を加えたハードなミリタリーウォッチである。しかし、ケースがPCカーボン(カーボンを配合したポリマー)のため、驚くほど軽い。個人的な意見を言うと、重い時計はデスクワークの邪魔でしかないのであって、机仕事がメインの人こそ、軽い時計を付けるべきだろう。加えてケースの厚さが11个靴ないため、シャツの袖にもほとんど引っかからない。つまり、正真のミリタリーウォッチだがデスクワークにも向く万能時計というわけだ。にもかかわらず、買わなかったのは、単純に自分の使い方に合わなかったからである。



LUMINOX

ORIGINAL NAVY SEAL 3000 SERIES Ref.3001.XQ

価格:4万9800円

ネイビーシール Ref.3001の風防をサファイアに、裏ぶたをPVD処理されたSSに改めたモデル。結果、一層頑強になった。ちなみに本作は、日本限定モデル。つまり海外で買うことは不可能だ。ケース径は43个發△襪、11个箸いηさと、PCカーボンがもたらす軽さは、この時計に優れた装着感をもたらした。

温泉巡りが趣味である筆者にはピッタリの時計となった



今回取り上げている『Ref.3001 XQ』は、「Ref.3001」の風防を硬いサファイアに、裏ぶたをPVDコーティングのステンレススティールに改めたモデルだ。時計誌っぽい説明を加えるならば、高級ラインであるANUのディテールを転用した仕様違いである。変更点はたったふたつだが、筆者にとっては、これが決定的だった。少なくとも、硬いサファイア製の風防は、今までのミネラル風防と違い、風呂場でこけても割れる心配はほぼない。つまり『Ref.3001 XQ』は、デスクワークで使えるのみならず、温泉にも持って行ける時計に進化したのである。仕事が終わったら、そのまま温泉に行くほど”趣味が温泉巡り”の筆者には、ピッタリの時計ではないか。もはや買わない理由がない。



▲風防には、無反射コーティングを施したサファイアクリスタルガラスを採用。高い耐傷性と優れた視認性を実現している。

正直言うと、プラケース+ラバーバンド+クォーツムーブメントという構成を考えれば、価格は決して安くない。ただ快適な着け心地と、200mという高い防水性能、そしてLLTがもたらす高い視認性は、何物にも代えがたい。そこに丈夫なサファイア風防が加われば、鬼に金棒ではないか。



▲自発光のLLT(Luminox LIGHT TECHNOLOGY)はダイヤル(1-11時)、すべての針、ベゼルはグリーンに光るが、ダイヤルの12時部分のみはオレンジに発光する。

もしあなたが、1本の時計ですべてを済ませたいなら、ネイビーシールの『Ref.3001 XQ』はその最右翼になるだろう。これよりも性能が高い時計も、高価な時計もある。しかし、『Ref.3001 XQ』ほどバランスの取れた時計はなかなかないだろう。これはハードなミリタリーウォッチだが、実のところ、どこでも使える万能時計なのである。

文/広田雅将

広田雅将/1974年生まれ。時計ライター/ジャーナリストとして活動する傍ら、2016年から高級腕時計専門誌『クロノス日本版』の編集長を兼務。国内外の時計賞の審査員を務めるほか、講演も多数。時計に限らない博識さから、業界では”ハカセ”と呼ばれる。

※『デジモノステーション』2017年4月号より抜粋

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