今シーズン最初のオーバルレース、そして最初のナイトレースだったインディカーシリーズ第4戦フェニックスは、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)が今季初優勝。これは彼にとってのオーバル初優勝で、昨年度チャンピオンはポイント・リーダーへと躍り出た。


シリーズ第4戦フェニックスではリタイアに終わった佐藤琢磨 フェニックスでの250周のレースは、チーム・ペンスキーの4人が代わる代わるトップを走ったが、最後に勝てるポジションを掴んだのがパジェノーだった。

 ストリートコースでの開幕2戦ではホンダ勢が連勝したが、常設ロードコースとショートオーバルではシボレー勢が優勢で、2連勝。勝ち星数はイーブンになった。ペンスキーはチームとして2連勝。ポールポジションは開幕から4戦連続で獲得しており、少なくとも現在までのところは、シリーズ最強との評価を与えていいだろう。
 
 ペンスキーの強さはエリオ・カストロネベス、ウィル・パワー、パジェノー、ジョセフ・ニューガーデンという4人のドライバー全員が、どのレースでも優勝候補に数えられるところにある。全体的にレベルが高い。

 本来、彼らに対抗すべきホンダ陣営はチップ・ガナッシ・レーシング・チームズだろう。だが、今年はホンダにスイッチしたばかりでデータなどが不足している不利に加え、同じ4カー体制でも、優勝争いにコンスタントに絡めるのはスコット・ディクソンとトニー・カナーンの2人だけ。他の2人はファーム・チーム的存在から抜け出せていない。

 そしてホンダ陣営でもうひとつの4カーチームが、マルチカー体制の効果に最初に気づいたアンドレッティ・オートスポートだ。

 彼らは2003年から4カーで戦い続けてきているのだが、このところ苦戦が続いていた。ドライバーたちに仕事を分担させ、豊富なデータを手に入れてマシンを素早く進歩させていくというシステムが、狙い通りに機能していないためだ。そこで今季はエンジニアリング体制の変更、強化がなされ、佐藤琢磨を4人目のドライバーとして迎え入れた。弱小チームで時として飛び抜けたパフォーマンスを発揮した元F1ドライバーのマシン・セッティング能力、ノウハウを評価してのことだ。

 しかし、ガナッシのトップ・エンジニアをテクニカル・ディレクターに据え、ジョセフ・ニューガーデンを勝たせたエンジニアをアレクサンダー・ロッシ担当として雇い入れた新エンジニアリング体制は、まだ成果を挙げていない。そんな急に効果が現れるものではないからだ。

 アンドレッティ・オートスポートはこのオフにロードコース/ストリートコース用のマシン・セッティングを根本部分から見直し、開幕戦セント・ピーターズバーグではエース格のライアン・ハンター-レイが4位、新加入の琢磨が5位と幸先のよいスタートを切った。

 だが第2戦ロングビーチからは4台ともにパフォーマンスが低く、マシンに複数のトラブルも発生。第3、第4戦と、2レース続けて4台すべてがリタイアという不本意な結果となった。

 昨シーズンの4レース終了時点(順番は違うが同じ4レースの組み合わせ)で、琢磨のランキングは9位。トップとは98点差だった。それが今シーズンは80点差の11位で、メジャーチームに移籍した効果が出ているとは言い難い。しかし、それを琢磨のパフォーマンス不足と責めるのは酷だろう。苦戦はアンドレッティ・オートスポート全体の問題だからだ。4レースを終えて表彰台フィニッシュがゼロ。ハンター-レイでさえポイントは琢磨より3点多いだけで、ランキングは9位と大して変わらない。

 ショートオーバルでの大苦戦に対しては、フェニックスの直後にイリノイ州のゲートウェイ・モータースポーツ・パーク(全長1.25マイル)で行なわれる合同テストを活用し、戦闘力アップのヒントを掴みたいところ。そして、勢いを取り戻してグランプリ・オブ・インディアナポリス(ロードコース)で好成績を挙げ、今季最初のスーパースピードウェイでのレース=シリーズ最大のイベントでもあるインディ500へとなだれ込む。それが理想的パターンだ。

 アンドレッティ・オートスポートといえば、インディ500に過去3年で2勝しており、今年も優勝候補だ。その後にあるデトロイトでのダブルヘッダーも期待ができる。チームのストリート用セッティングは悪くないはずだし、デトロイトは琢磨の得意とするコース。アンドレッティ・オートスポートと琢磨は、インディアナポリスでの2連戦で流れを変え、チャンピオン争いへ食い込んでいきたいところだ。

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