蛭子能収氏

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【相談】
父親の介護をしていますが、自分もいずれはそうなるのかと思うと、やりきれない気持ちになります。最近明らかに体力も落ちてきました。体も脳も、老いていくのが怖いんです。(50歳男性・会社経営)

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先日、関西で朝の生番組に出演したんですけど、僕がしゃべっている最中に、隣にいたコメンテーターが突然大笑いし始めたんです。別に面白いことを言ったつもりはなかったので、収録後に聞いたんです。「どうしてあそこで笑っていたんですか?」って。そうしたら、「だって蛭子さん、まったく同じことを2回言うんですもの」と言われ、びっくりしたんです。これは本当にショッキングな出来事で、何よりも、まったく自覚していない自分に驚かされました。そうでなくても、最近は物忘れが激しいし、収録中も理解が追いつかなくて苦労することがよくあります。トーク中に、「あれ、僕今、何を話そうとしていたんだっけ?」と、話題を見失ってしまうことも珍しくありません。それが僕の持ち味といえばそうなのかもしれませんが、これ以上進行すると……マズいですよね。

こんな僕でも、昔から長生きしたいという欲求は強いんです。ただし、健康で長生きしなければ意味がありません。だから、少しでも体にいいことをしようと、日頃から生活のいろんな部分で気を使っているつもりです。たとえば、ロケなどがない日は、油断するとまったく体を動かさないまま1日が終わってしまいますから、できるだけ歩くようにしています。外出する際も、タクシーに頼ることはほとんどありません。キャップを被っていれば、周囲に気づかれることもほとんどないですから、徒歩と電車での移動がメーンです。

また、何よりも意識しているのは、怒らないこと。僕、昔からケンカは絶対にしないんです。腕っ節が弱いので、ケンカしても絶対に負けるから、というのが一番の理由ですけど、プリプリ怒っているのはやはり健康によくないでしょう。

おかげで、これまで大病を患ったことは一度もありません。もちろん、僕だって人間ですから、共演者からバカにされたりいじられたりすると、内心イライラすることもありますよ。でも、それを口や態度に出して、相手に向けては絶対にダメ。どうせどんな怒りでも、一晩寝ればたいてい忘れちゃうんですから。

それに、もしイライラをその場で誰かに吐き出したら、現場の雰囲気が壊れ、つまらなくなってしまいますよね。そうなると、収録を続けることがストレスになってしまいますから悪循環。だったら、少々のことは呑み込んで、ニコニコしているのが一番ですよ。

何より、他人に対して怒らない人は、周囲から好かれますから、一石二鳥。僕はこの点に関しては、実はけっこう自信があるんです。友達が欲しいとか、空気を読まなきゃとはまったく思わないですけど、楽しく生きていくためには、人から好かれることは大切ですよね。コツは、相手より自分を低い立場に置くこと、相手の言うことを何でもハイハイ聞くこと、そしてケンカになりそうだったら、自分が悪くなくてもすぐ謝ること、これに尽きます(笑)。

こうなると、目下の悩みは呆け予防なのですが、本当は、呆け防止のためには麻雀がいいらしいんですよ。計算もするし、指先もたくさん使うから、頭がはっきりするんです。実際、100歳でピンピンしているあるお婆さんが、「健康の秘訣は麻雀」だって言っていました。僕も麻雀をやっていた頃は、今よりもずっと頭が冴えていた気がするなあ。

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【蛭子さんの一言】呆け防止は目下の課題。いい方法があれば教えてください。

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蛭子能収
1947年生まれ。長崎商業高校卒業後、看板店、ちり紙交換、ダスキン配達などの職業を経て、33歳で漫画家に転身。現在は俳優やタレントとして活躍中。著書に『ひとりぼっちを笑うな』(KADOKAWA)ほか。

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(友清 哲=文 吉澤健太=撮影)