インド・パンガンにある「おばあちゃんのための学校」で学ぶ女性(2017年3月1日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】制服を着て学校用のかばんを持ち、教室で熱心にアルファベットを暗唱する。しかしここにいる生徒たちはどこか違う。それはここが「おばあちゃんのための学校」だからだ。

 幼少期に教育の機会を奪われたこの60〜90代の女性たちの大半は、夫をすでに亡くしている。だが、インド・ムンバイ(Mumbai)で行われているこのユニークな取り組みを通して、読み書きができるようになりたいとの長年の夢がようやくかなおうとしている。

 AFPの取材に応じたグラブ・ケダールさん(62)は「子どもの時に学校へ行ったことはない。こうして学校へ来て友達と一緒に学ぶのは素晴らしい」と喜びに顔を輝かせた。

 学校は、3月8日の「国際女性デー(International Women's Day)」に開校から1周年を迎えた。ここでは、インドの多くの村々に共通する伝統的な考え方に反し、読み書きができないという不名誉から脱却できるよう女性たちを支援している。

 生徒29人は毎日、マハラシュトラ(Maharashtra)州ターネー(Thane)のパンガン(Phangane)村にある自宅から歩いてすぐの場所にある学校「アージバイチ・シャラ(Aajibaichi Shala)」に通っている。「アージバイチ・シャラ」は地元で使われるマラティー語で「おばあちゃんのための学校」を意味する。

 孫たちは手を振って見送り、時には一緒に来ることもある。ただ、それは学校へ行くよう女性たちを励ます必要があるからではない。女性たちは石板とチョーク、教科書が入ったそろいの学生かばんを持ち、誇らしげに登校している。

 竹の床と干し草をふいた屋根でできた小さな野外教室では、あぐらをかいて座った生徒たちが午後2時から4時まで授業を受ける。

 教師のシータル・モアさん(30)の手ほどきをうけながら、生徒たちは簡単な文章を読み、石板の上に注意深く自分の名前を書く練習をする。どちらも1年前にはできなかったことだ。生徒たちは、基本的な算数も学んでいる。

■自分の名前をサインできる誇り

 バングルや鼻ピアスをつけた女性たちがたどってきた人生は、みなどこか似ている。幼少期に兄弟たちが教育を受けている間、女性たちは家にとどまっていた。若くして結婚した女性たちに期待されたのは、子どもを育て、家事をすることだった。

 ジャナバイ・ダジケダルさん(75)は「兄弟たちは学校へ行ったけれど、私にはその機会が与えられなかった」と語り、「銀行ではいつも、母印を押さなければならなかった。これは不名誉なことで、私は恥ずかしかった。今は自分の名前をサインできることを誇りに思う」と続けた。

 施設は、地元の慈善財団からの出資を受けている。学校設立のアイデアを思い付いたのは、パンガンの小学校で昨年まで3年間教師をしていたヨゲンドラ・バンガーさん(41)だ。

 バンガーさんは、女性に対する敬意を醸成するための重要な役割をこの学校が果たしていると語る。意図的に選んだカラフルな制服もその一つ。他の村にとっていい先例になりたいとも思っている。

「おばあちゃんたちの大半は夫を亡くしていて、(本来なら)喪に服していることを示す白い服を着なければならない。私たちはこうしたタブーや、その他の古い伝統を打ち破り、すべての人が差別されることなく平等なコミュニティーの一員であると感じられるようにしたい。ピンクの制服はこうした理由から選んだ」とバンガーさんは語った。
【翻訳編集】AFPBB News