専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第103回

 ゴルフで大事なことは、ルールを守ってプレーすることです。

 前回、2019年のルール改正に向けてR&A(英国ゴルフ協会)がルールを簡略化する方向で調整に入った、ということを取り上げましたが、これには大いに期待を持っています。

 そしてもうひとつ、ルールと同様に守らなければいけないのがレギュレーション。すなわち、規定です。

 クラブの寸法やボールの大きさなど、細則が定められています。ギアやボールはその基準に照らし合わせて製作されるのです。

 レギュレーションで一番有名なのは、反発規制ルール(SLEルール)です。

 とりわけクラブの進化によって、ゴルフの飛距離はどんどん伸びていきました。おかげで、コースの距離を毎年伸ばしていかないと国際試合ができないから、規制をもうける動きが10年以上前に起こりました。結果、プロアマ問わず、飛ばないクラブを使用することになったのです。

 反発規制ルールとは簡単に言うと、ドライバーヘッドにボールが当たったときの反発具合を数値化し、上限を定めたものです。公式試合では基準をクリアしたクラブのみ、使用が許されています。

 ところが最近、クラブメーカーの技術革新がめざましく、例えばスイートスポット以外に当たっても飛ぶようにして、ミスショットをナイスショットに変えるとか、涙ぐましい努力をしています。

 それにより、プロの世界ではバッバ・ワトソン(38歳/アメリカ)みたいな350ヤードヒッターが続々と登場するに至っています。もちろん、バッバ・ワトソンが使用しているのも飛ばない低反発ドライバーです。結局、クラブを規制しても結構飛んでしまうので、今度はボールを飛ばなくしよう、なんて意見も出ています。

 R&A、USGA(全米ゴルフ協会)などの組織は”飛ばない”ギアを使うように指示し、メーカーは規制に従いつつも”飛ぶ”ギアを作り出す――昨今は、そんな双方のせめぎ合いとなっています。

 こうした状況のなか、昨年ある出来事が起きました。プロギアの『RS-Fドライバー』が一度はルール適合の認定を受けたにもかかわらず、再度の検査で不適合な部分が見つかり、ルール以上に飛ぶという理由で、適合リストから除外されました。

 これは、「はい、そうですか」で済む話ではありません。このクラブは有名プロも使用しており、それが一時的に使えなくなってしまったんですから。

 最終的にはルール適合の製品を作り直して、再検査の結果、無事に合格となったのですが、最初に作った製品は一斉回収ですからね。損害は甚大です。

 なんでプロギアの製品がこうなったのかは謎です。噂の域を超えませんが、お上から目をつけられていた、という話がまことしやかに流れています。

 プロギアは、非常に優秀で革新的なメーカーという評判があります。自分も『ZOOM』時代からプロギアのクラブを使用しています。

 最近の革新的な製品と言えば、ルール不適合、すなわち高反発クラブの販売ではないでしょうか。

 しかしこれは、R&Aから見れば、反発係数を無視した暴挙とも取れますよね。江戸時代なら、シーボルトが日本地図を海外に持ち出すぐらいの重大な規約違反になる、そう見えたかもです。

 実際、その高反発クラブを試打しましたが、従来品よりも平均で10ヤード弱飛んだ、というデータが出ました。R&Aからすれば、いくらアマチュアゴルファー向けの販売とはいえ、面白くないでしょう。「堂々とルール不適合クラブを売るって、ケンカ売ってんのか!?」ってね。

 加えて、そのドライバーのキャッチコピーが「ギリギリの反発係数」だし。そんなところにも、カチンときたのかもしれません。

 そういう出来事を踏まえると、トッププロと”飛ばない”アマチュアが同じ規定のドライバーを打つことに対しての、違和感はありますよね。

 だいたい、トッププロが使用するドライバーは、市販品とはまったく違う特別製ですからね。人間が振り回すものとは到底思えません。以前、御殿場にタイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)とデビッド・デュバル(45歳/アメリカ)が来たとき、彼らが使うクラブに触れてみましたが、まるで斧のようでしたよ。

 また、昔ジャンボ尾崎さんのドライバーが売り出されたとき、飛ばし屋仕様のハードな仕上がりで、使いこなせるアマチュアは限られていました。私のような非力野郎には、尾崎兄弟の三男・尾崎直道プロの『ジョーモデル』のほうがまだ楽に振れたかな、という感想です。

 プロとアマのギアは、反発係数だけが一緒で、あとは別物って感じです。だったら、いっそのことギアに関してはプロ用とアマ用と分ければいいんじゃないですかね。クラブメーカーだって、アマチュアに売ってなんぼでしょ。トッププロが使うのは、イメージ戦略の部分が強いですし。

 アマチュアのクラブ競技でも、ハンデ戦(月例や理事長杯など)は高反発ドライバーを使用可にして、スクラッチ競技(クラブチャンピオン選手権やスクラッチ選手権)はルール適合クラブで臨む、とかにすればいいんですよ。


「飛ばない」アマチュアは高反発クラブを使ってもいいと思うんですけどね...... アベレージアマがなんぼ飛んでも、70台で上がることは滅多にないんですから。そろそろ、低反発規制に怯えるのはもうやめましょうか。

 私は、高反発クラブを使ってR&Aから除名されても結構です!(……って、R&Aにはもともと入っておらんがな)

 偉大なるマハトマ・ガンジーは、大英帝国の圧政を打破するために、英国の専売制だった塩をみんなが作って”塩の行進”を起こして対抗しました。

 今まさに、我々も高反発ドライバーを使って、大英帝国の規則を打ち破ろうではありませんか!(なんかちょっと、大袈裟な気もしないでもないですが……)

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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