三代目ちびまる子ちゃんこと、実写版節子こと、クレラップ姉妹の長女である三戸なつめが『前髪切りすぎた』でCDデビューしたのは2015年4月のことだ。なんだこの曲、やる気のねえ中田ヤスタカみたいな音してんな、プロデューサー誰だろう?と思って調べたら中田ヤスタカだった。野郎。

 青文字系読者モデルが中田ヤスタカプロデュースで歌いまっせ〜〜!!っていうのは、きゃりーぱみゅぱみゅがすでに大成功してる。ウォール・マリアより遥かにデカくて厚くて高い壁。今からそこに挑んでいくリスキースタイル。所属事務所であるアソビシステムは三戸なつめに対して無慈悲すぎるんじゃないか。

 最初は妙な聴き心地だなと不思議がって手に取ったのだけれど、気がつけば三戸なつめのことが気になって気になって仕方がない自分がいた。落ちていたのだ、恋に。

 愛ゆえに三戸ちゃんを追いかけてきた私が断言するが、事務所であるアソビシステムが三戸ちゃんに行った仕打ちは残虐非道極まるもので、恋する女で遊ばれた私の恨みは消えぬ火を点すばかり。そういう恨み言を今回は書かせていただきたいと思います。

フリー素材扱いされる三戸なつめ

 美人にマイナスをかけた顔面の女性の皆さんが、なにかを勘違いして美容院で三戸なつめと同じ髪型を注文してしまう悲劇はすでに日本中で起こってしまっているが、それを助長したのが三戸なつめのデビュー曲にして問題作『前髪切りすぎた』。

 

 前髪を切りすぎたけど私かわいいから大丈夫という主張を繰り返すこの曲は計14種類ものMVが制作された。その中で最もバズったのがこの”白菜篇”。楽曲の能天気さと映像が相まって非常に危険な香りを放っている。だんだん三戸なつめがペナルティのワッキーにしか見えなくなってくる。

 アメリカではテロ容疑者にレッチリやメタリカを延々聴かせる拷問が行われていたらしいけど、この曲もプレイリストに加えてみてはいかがだろうか。みんな早めに自供するはずだ。

 14種類のPVそれぞれで、踊らされたり棒演技させられたり奇抜な衣装を着させられたりアニメ化されたりする三戸なつめ。フリー素材かな?

 踊りのクオリティでは当然専門職のPerfumeには敵わないし、奇抜さではきゃりーぱみゅぱみゅに敵わない。前髪がクソ短いというだけで生き抜けるほど簡単な業界ではない。

 案の定、立て続けにリリースした曲たちは盛大にスベった。これは私の主観ではない。数字が叫んでいるのだ。

 

『わたしをフェスに連れてって』のMVでは”白菜篇”の監督を引き続き起用し、二匹目のドジョウを自ら狙っていったがなぜか曲調はジッタリン・ジン。制作陣の意思統一全くされてねえ。

 

『8ビットボーイ』では曲調はチップチューン風でエレクトロ路線に戻ったものの、MVではドット絵風の背景の中、すげえ嫌そうな顔でゴリラのモノマネをさせられる三戸なつめというシュールすぎる絵。

 もう三戸なつめのことは許してあげてくれ。いっそワッキーを踊らせてくれ。ワッキーだったらアソビシステムがいくら大人のおもちゃにしても平気だと思うからさ。フィジカルも三戸なつめよりも断然強い。とか言っているうちに問題作『I’ll do my best』がリリースされた。

 

perfumeに喧嘩を売らされる三戸なつめ

 モロPerfumeじゃねーか。ヤスタカの野郎開き直りやがった。サビなんかほぼ同じ曲あっただろ。

 MVにもPerfumeのアートワークを手がける関和亮監督を起用する完璧な布陣。まさにDo my best。どうやらこのタイミングでアートディレクターが替わったらしく、今までの面白路線から一気に舵を切った。それにしたってアソビシステムお前、三戸なつめで遊ぶのにも程があるだろう。

 

 ここまで、アソビシステムに遊ばれるだけだった三戸なつめの音楽活動。しかしようやく「三戸なつめでなければいけない」という必然性が生まれる兆しが見えた。

 

 この『おでかけサマー』だ。

 Perfumeすぎず、原宿すぎず、絶妙にキュートな歌詞とメロディライン。17歳が歌えばかわいいだけだが、27歳が歌うことでノスタルジックさが際立つ仕組み。

 MVも素晴らしい出来で、三戸なつめの自然な笑顔をはじめて引き出せてる。かわいい。もう全然ワッキーに見えない。この後の両A面シングル『パズル』『ハナビラ』でもこの路線は踏襲され、躍動する三戸なつめの姿を見ることができる。オススメです。

 

しかし傷が多すぎた

 でも、ここまでたどり着くのに負傷が多すぎたなとも思う。

 いままで製作されたMVやプロモーションのイメージが強すぎるが故に世間的には「前髪の人」で浸透してしまっている。Googleのサジェスト欄を見れば一目瞭然だ。

 ちびまる子ちゃんのツイッター広告なんかも罵倒の嵐だったし、上に書いたように音楽性も散らばりすぎて今回の1stアルバムも内容がしっちゃかめっちゃかになってしまっている。

 どう考えても攻めすぎたのだ、アソビシステムが。その結果が現在だ。事務所のせいだと叫ぶのはいささかベタだが、今回ばかりはどう考えてもアソビシステムがやりすぎたせいだ。きゃりーぱみゅぱみゅで成功していなかったら、こんな奇抜なプロモーションには走らなかったはずだ。ていうかきゃりーの時だって最初は危うかったのに、奇跡なんか二度も起きるはずがない。

 音楽をつかってタレントを博打にしてしまうのは、あんまりよろしくないことだと私は思います。どうでしょうか。

 それでは。

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