4月19日に2015年の完全復活後3枚目となるシングル『STAR TRAIN』を発表したばかりのPsycho le Cémuが、今年初となるワンマン公演<サイコ イン ワンダーランド〜不思議の国のアヤッス〜>を4月30日東京・新木場STUDIO COASTで開催した。
2006年に活動休止や自粛などが重なったPsycho le Cémuだが、結成10年、そして15周年記念ライブを経て、その流れは確実に良い方向へと向かっている。
公演中「夢の場所に向かって確実に一歩ずつ進んでいると思う」とベース・seekがMCで日本武道館公演について語ってくれたが、この日の白熱のライヴパフォーマンスは、彼らのさらなる飛躍を感じさせるものとなった。以下、満員御礼となったPsycho le Cému今年初のワンマン公演「サイコ イン ワンダーランド〜不思議の国のアヤッス〜」のオフィシャルレポートをお届けする。

映画のオープニングを思わせるSEが流れると、暗転。大歓声とともに、ステージ上手のバルコニーには王様に扮した白金のエンペラー・YURAサマが登場する。「娘は何処へ行ってしまったのか?」と、不幸のどん底に落ちているところへ兵隊ウサギ・Lidaがやって来て「王様の闇より深い悲しみを私が埋めてみせる!」と宣言。さらにそこへ、「私を呼んだということは、不幸のどん底なのか?」と幸福のエッグマン・seekが姿を現した。ネコのマッドハッター・DAISHIも登場し「例えどのような状況においても大切なのはどう生きようとするかなのです」と人々を導き、最後に本日の主役、不思議の国のアヤッス・AYAがサイコ イン ワンダーランドに迷い込んだところからライブはスタートした。今回は王様が失った笑顔を取り戻し、元の世界へ戻るというストーリーだったのだが、果たしてライブの行く方は?!

「さぁ、この世界では常識を忘れ、嫌なことを忘れ思う存分、楽しむが良い!ここは、サイコ イン ワンダーランド!」というアナウンスから、5人が一直線に並んで幕を開けたオープニングはダンスナンバー『MEGATRON -Upper ver.- 』。息のあったパラパラが圧巻の『激愛メリーゴーランド』でペンライトや光るサイリウムが会場を早々にダンスフロアへ変えてゆく。新曲『STAR TRAN』から『あきらめないDAYS』と明るくポップな夢のある楽曲を次々にドロップすると、オーディエンスもジャンプし、会場を揺らした。そして『摩天楼カオス』では場内の空気がガラリと音を立てるように変わり、押し寄せるように更にヘヴィなナンバー『LOVE IS DEAD』が演奏された。さらに「飛ばしていけるかー!」と、ラップを織り交ぜた『one day』で息のあった演奏を見せるリズム隊。ポップな面だけではなく、インディーズ時代から激しく鋭い表情も見せていたバンドだということを改めて再確認する一方、デビュー曲『愛の唄』では青空へ突き抜けるようなDAISHIの歌声がフロアへ響き渡った。そして久しぶりに贈られた『BLUE AGAIN』。

MCでは「ここは、どこっすか?」と微妙な敬語でサイコ イン ワンダーランドへ迷い込んだAYAが登場。兵隊ウサギのLidaに「自分でピョンピョンって言ってウサギ感だしてるおっさんがいる」と毒舌ジョークを放ちフロアを笑わせると、王様の笑顔を取り戻そうとメンバーが次々と芝居を披露し、途中YURAサマの楽屋から持ってこられたパンツまで登場。会場は終始、笑顔に溢れていた。このライブ中に繰り広げられる芝居も、Psycho le Cémuの持ち味。

中盤では元気よくオーディエンスたちがタオルのウェーブを見せる『Fantastic Fantasy』やダンサブルな『BLADE DANCE』で大いにステージを盛り上げた。チアガールのようなポンポンを持ってAYAがステージを駆け回った『You&Me』の後は、『この星に願いを…』をDAISHIが歌い上げた。芯のある真っすぐな歌声は、夜空を描き、演奏にオーディエンスも身体を揺らした。アルペジオが心地よいイントロからスタートした『UNIVERSE』はDAISHIの声も伸びやかに、オーディエンスたちをさらに魅了していく。

ライブ後半戦では、『2020』『Last Emotion』とさらにハードロックな楽曲を畳みかける。衝撃、激動の連続。バンドの初期衝動を忘れていないPsycho le Cémuの剥き出しの演奏に、オーディエンスも本気でステージへぶつかっていった。インディーズ時代のナンバーでライブの定番ともなっている『Murderer Death  Kill』では、seekがデスヴォイスで叫び、Lidaのギターソロに呼応するかのごとくコール&レスポンスが続き、AYAが楽しそうにフロアへウォーターガンを放つ。ヘドバン、逆ダイとひたすらに熱く、激しいライブステージ。

そこから演奏された『道の空』では爽やかなサビを聞かせながら、seekの頭をDAISHIが撫でる仲の良い姿を見ることができた。さらに 「難易度レベルは星5くらいだと思う。だって俺がギリギリだもん」と歌われた『しばしの別れ』では、堂々と心を込めて歌い上げるDAISHIの姿にオーディエンスがくぎ付けとなった。しかし、夢のような時間はあっという間。YURAサマの「ロケットバイビー!」で本編は締めくくられる。そして再びメンバーが登場すると、各メンバーからのコメント。

「今日4月30日は運命的な日で、11年前2006年僕たちが活動休止を発表してから一発目のステージで場所も同じここ新木場STUDIO COASTでした。一度は壊れてしまったバンドが見ることができる喜びと、バンドが終わることがわかった上で見なければならないという複雑なライブだったと思います。今日は笑顔が溢れるライブができて嬉しいです。僕たちの夢は日本武道館に立つ事です。夢の場所に向かって確実に一歩ずつ進んでいっていると思います。笑いながら死ぬ気で頑張っていくので、これからも応援よろしくお願いします」_seek

「若いときの自分より頑張ってるんですけど、まだまだだなと思ったりもしてます。いい意味でメンバーを意識しだして、昔よりメンバーと高めあえてると思います。いい感じのサイコになってます。現状に満足はしてないけど、今の一瞬を大切にしたいなって思ってます」_DAISHI

アンコールでは、配信限定で発表された『未来少年×未来少女』、さらには『聖〜excalibur〜剣』が披露され『REMEMBRANCE』ではオーディエンスの大合唱とメンバーがステージ中央に笑顔で集結。オープニングの『MEGATRON -Upper ver.- 』から『2020』『Murderer Death Kill』などのヘヴィ・チューンを織り交ぜた全22曲はバンドとして芯の強さと、大きな舞台に挑み続けるための一歩を強く感じさせた。これから先、どんな世界へ連れて行ってくれるのか、今から楽しみで仕方が無い。サイコ イン ワンダーランドのラストは全員が手を取り合ってロケット・ジャンプで幕を閉じた。Psycho le Cémuは今後、夏のワンマンツアーとファンクラブ限定ライブを予定している。(文/後藤千尋)