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■どんなクルマ?

欧州での販売は「おあずけ」

「クラリティ・フューエル・セル」はホンダの量産型燃料電池車としては初めてのクルマである。

ホンダはこのクルマの売り込み先を、興味を持ってくれそうな地域に限定することとした。したがって少量生産のクラリティは、アメリカと日本で販売されることとなった。

今回クラリティを販売開始するにあたって、ホンダはトヨタの牙城を崩したかったのではないかとわれわれは予想する。

また今回コペンハーゲンでお披露目した、燃料電池に対するホンダの取り組み姿勢や、30年に及ぶ同社の燃料電池における技術は進歩しているということを世界的に知らしめるためでもあるのだろう。

現在、ホンダ・クラリティの生産は日本で行われ、1日に3台を作ることが可能とのこと。

将来的には世界中の国々にデリバリーされるが、ドイツやデンマークも近い将来、マーケットとして有望な地域である。水素ステーションの普及が急速に進んでいて、燃料電池車に乗ったとしても苦労することが少ない地域であるからだ。

■どんな感じ?

気になるのは「あたりまえの」室内環境

特筆すべきは、手の届くような価格帯で快適なクルマであるということと、電気自動車特有の高い静粛性と高度なスムーズさ、そして永住してもいいと思えるような室内空間と運転のしやすさだ。

クラリティは4.9mを超えるサルーンだ。ボディはアマグラムという高抗張力銅とアルミニウムの複合合金を用いている。

燃料電池や、パワートレインなどのかさばるモノを小さくすることで、3.5ℓV6などよりもサイズ的に小さくすることに成功している。

燃料タンクの数はふたつ。ひとつはリア・シート下で、もうひとつもすぐそばにある。このタンクで合計5kg(これはトヨタ・ミライと同じ)の水素を運ぶことができ、ゼロ・エミッションを達成した1800kgの4ドア・サルーンとしては最も長くCO2を排出せずに航続できるとホンダは言う。

内装は、豪華さとスペースがプラスされている。ただ、やはりリア・シートには限界があって、ホンダは「5人乗りの燃料電池車」と言ってはいるが、われわれはそうは思わない。

5人乗るには、中央のパッセンジャーがリア・シートの真ん中にあるトンネルを跨ぐかたちになりスマートではない。リア・シートには2名乗車が妥当だ。足元のスペースに関しては及第点。

ロールス・ロイスに似ている

道路に出てみると、とてもいい感じ。停止状態からの出だしは俊足でスムーズ。アクセルを踏む際のトルク感も申し分ない。当たり前だが、クラッチは無いのでギアチェンジのギクシャク感も存在しない。

運転中にパワートレインから発生られる音は皆無と言っていい。スーパーチャージャーのコンプレッサーが「ミュー」と鳴いているだけだ。

減速する際には、回生ブレーキがバッテリーにチャージしている音がする。コンソールに備え付けのスポーツ・ボタンを押すと、アクセル・レスポンスが向上するギミック付きでもある。

ハンドリングは大柄なクルマにしてはスッキリした印象を受けた。豪華なインテリア、静かな車内、ステアリングはホイールベースのせいか軽すぎないのが良い。

クラリティは「そんなクルマではない」というのを分かったうえで敢えて言うと、コーナーでもよく粘る。

ハイスピードで突っ込んでもニュートラルなコーナリングをし続けようとする。静粛性の高さはトヨタ・プリウスのようで、パワートレインはロールス・ロイスのそれを思わせる。

■「買い」か?

英国内では、次期型に期待

ここでは買えない。ホンダは2022年までにヨーロッパでも燃料電池車の販売を開始する見込みである。

そのため、次世代のクラリティは手に入れることができるようになるだろう。はやく現実的な値段で、世界中に出してほしいものだ。

ホンダ・クラリティ・フューエル・セル

■最高速度 167km/h 
■0-100km/h加速 9.0秒 
■航続可能距離 649km 
■CO2排出量 0g/km 
■乾燥重量 1800kg 
■エンジン モーター+燃料電池スタック+リチウムイオン・バッテリー 
■最高出力 177ps 
■最大トルク 30.6kg-m 
■ギアボックス シングル・スピード