カリスマ経営者のカラーは一新

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 創業者の伊藤雅俊・名誉会長と大番頭でカリスマ経営者だった鈴木敏文・前会長の“お家騒動”に揺れたセブン&アイ・ホールディングス。結果は、創業家の完勝だった。後藤俊夫・日本経済大学大学院特任教授が言う。

「社長人事を強行しようとして伊藤家の反感を買い、鈴木さんは退任に追い込まれた。鈴木さんのなかには『自分は伊藤オーナーから全権委任されている』という思い込みがあったのでしょう。しかし伊藤氏からすれば、『しょせん雇われ社長なのに』という意識があった。このようにプロ経営者は創業家を無視した途端、あっさり切られてしまうことがある」

 その後は一気に鈴木色の払拭と創業家回帰が進んだ。

 鈴木氏の後を追うように次男の康弘氏も昨年12月の人事で取締役を退任し、創業家の次男、伊藤順朗氏が常務に昇格した。イトーヨーカ堂のシンボルで鈴木時代に看板から消えた「鳩のマーク」も復活する。

 伊藤常務は2月の決算会見に登場し、「長年培ってきた看板であり、それを大事にしたい社員たちの気持ちは強い。各店舗が新たなスタートをした時に変えようという方針だ」と創業精神への回帰を強調した。

 セブン&アイといえば“鈴木敏文氏の会社”というイメージは、昨年5月の退任からわずか1年で伊藤家の強い影響力に様変わりした。これこそが創業家の強さであるが、同社には別の狙いもある。

「3月から順朗氏はヨーカ堂の取締役を兼務することになった。グループでは業績回復の兆しが見えないヨーカ堂の閉鎖、リストラが急務とされており、創業家の順朗氏ならばそれに対する反発を押さえることができるのではないかと期待されている」(セブン&アイ関係者)

 創業家にはさまざまな“利用法”があるのだ。

※週刊ポスト2017年5月5・12日号