ゴールデンウィークなどの長期休暇中、全国で道路が渋滞することはもはや風物詩のひとつ。そうしたなか、よく耳にする「自然渋滞」とは、どのように発生するものなのでしょうか。

2017年GWの渋滞、最長45kmを予想

 2017年のゴールデンウィーク、NEXCO各社の発表によると、5月5日(金)に関越道(上り)高坂サービスエリア(SA)付近で45kmが予想されるなど、今年も各地で大渋滞が発生するといいます。


高坂SA付近では最長45kmの渋滞が予想されている。写真はイメージ(画像:photolibrary)。

 そもそも「渋滞」とは、どのように定義されるものなのでしょうか。これについてNEXCO各社は、「40km/h以下で低速走行あるいは停止・発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態」としています(ただし、渋滞と判定される速度が異なる例外の路線もあります)。

 原因については、NEXCO東日本によると、2016年に同社関東支社管内で発生した渋滞のうち、事故によるものは約17%、交通集中は約75%、工事によるものは約2%だそうです。事故や工事など原因をイメージしやすい渋滞は意外と少なく、実は道路が下り坂から上り坂に変化するサグ(凹部)や長い上り坂における速度低下が最大の原因で、これらは、交通集中の約58%、渋滞全体の約45%を占めるといいます。

 サグなどにおける、渋滞の発生メカニズムはどのようなものでしょうか。

後続車に伝わる「ブレーキの波」とは

 サグなどにおける渋滞の発生メカニズムについて、NEXCO東日本の「渋滞予報士」である外山敬祐さんは次のように説明します。

 まず、道路の勾配を意識せずに、下り坂でアクセルを緩めた状態のまま上り坂に差し掛かると、クルマは自然に減速してしまいます。交通量が多い状況でこうしたクルマが存在すると、すぐ後ろのクルマは車間距離が詰まるため、思わずブレーキを踏んでしまいます。さらに、ブレーキを踏んだ、そのさらに後ろのクルマもブレーキを踏むことによって、「ブレーキの波」が大きくなりながら、どんどん後続車へと伝わっていくため、最終的には停止してしまうクルマも出てきます。これが、サグや上り坂において、渋滞が発生するメカニズムだそうです。

 では、自分が渋滞の原因とならないために、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

「後続車にブレーキを踏ませないためには、自分のクルマの速度に常に注意し、上り坂でもスピードを維持することが大切です。高速道路上で、『この先上り坂』や『速度低下に注意』という表示があったら、特に注意してください。クルマの性能上、スピードが出せない場合は、なるべく追い越し車線に入らないようにしたり、登坂車線を利用したりすることが効果的です」(外山さん)

 逆に、自分が渋滞に並ぶ場合、前のクルマの速度が少し下がってもブレーキを踏まなくて済むように、車間距離を置くことが大切とも。40mの車間距離を目安についていくとブレーキの回数が減り、渋滞を緩和させる効果があると外山さんはいいます。

 また、渋滞をかわしいち早く進もうとして車線変更を行うと、その車線の後続車にブレーキを踏ませてしまい、これも渋滞悪化の一因になるそうです。

「隣の車線が空いているように見えても、交通量レベルが高い状態では、事故などの影響がある場合を除いて進み方にそれほど差はありません。後続車にブレーキを踏ませる原因になるため、むやみな車線変更は控えましょう」(外山さん)

 ゴールデンウィーク中のクルマの旅は、渋滞情報などを活用して渋滞を避けると同時に、自らが渋滞原因とならないような運転が必要です。

【画像】上り坂の渋滞対策「エスコートライト」


首都高における上り坂での渋滞対策「エスコートライト」。その設置場所と運用イメージ(出典:首都高速)。