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■どんなクルマ?

「憂鬱」の2文字から始まった試乗会

BMW 4シリーズに乗ってのミュンヘンからオーストリアへの旅は良いなスタートとはいかなかった。まさかの雪。しかもブリザードの真っ只中の。エアバスA320のパイロットがハンド・ブレーキを引いて、シートベルト着用サインを解除する前に、僕たちの試乗車のタイヤは全てスノー・タイヤへ換えられてしまったのである。

そのうえプレス・カンファレンスでは、新型車は目新しさに欠くという残念な現実を知ることになった。

BMWによると、前後のライトが新しくなったようだ。新しいデザインのバンパー、そして内装と外装のカラー・バリエーションが増え、ステアリングも新しくなったとのこと。

それが注目ポイント?

正直なところ、新しいデザインのバンパーがついた(だけの)ニュー・モデルの試乗に、最初から期待をしろという方が酷ではないか。

しかし刷新されたテクノロジーの説明に移ると、話の内容は徐々に面白くなってきた。

目に見えない部分で変わった2つのポイント

任意のレイアウトが設定できるデジタル・メーターと、スワイプ操作ができ、AppleのCarPlayが使えるうえグラフィックも新しくなったインフォテインメント・パッケージ。

現行の5シリーズと7シリーズに導入済みのものだと聞いて、嬉しい気持ちになった。

BMWのドライビング・ダイナミクスの導師である、ヨス・ファン・アシュによると、フロント・ホイールのネガティブ・キャンバーを上げたことで、アンダーステアも克服したという。

ダンパーの減衰レートも改められ、スタビライザーの径が太くなったことまで加味すると、走りに期待ができると僕は思った。

そして、「マッピングし直したステアリングのおかげでフィードバックも改善した」という台詞を聞いた時、ほかのジャーナリストが歓声をあげた。

なぜなら、旧モデルの最大の汚点はそのダルい操舵感にあり、非常に後味の悪い印象だったからである。

■どんな感じ?

何も変わっていないではないか!

まずは430iコンバーチブルの試乗。悪い印象の頂点を極め、いきなりこのクルマへの興味を減退させてしまったことをまず始めに書かねばなるまい。

搭載されていた4気筒ガソリン・エンジンの出力は、必要にして十分であったが、その全域でが雑な印象が拭えなかったのだ。

結果的に低回転域で心地の良いところを探さざるを得ないキャラクターは、モダンBMWのラインナップにおいて、極めて稀である。

しかも、8速オートマティックは、スムーズでもなければ応答性もよくなかった。改善されたというステアリングも、直線でもコーナーでもスポーツの称号に見合うだけの域には達していなかった。

せっかくミュンヘンまで来たのに、悪夢のような気分である。

スノー・タイヤの影響は否定できないと教えられたが、どちらにせよ、このクルマの出来に落胆してランチ・ブレイクを迎えることになった。

そして440iクーペに乗り換える時がきた。

440i、これはいいぞ!

皆様、これは、素っ気無い430iに比べたら、溶けかけたカマンベールのようになめらかである。430iで気づかなかった、今回施された細かな変更点は440iクーペに乗るとその効用がはっきりと認識できる。それはこのクルマの印象を大きく変えるほどである。

BMWはその輝きを失いかけていると囁かれるが、少なくともこの440iをみる限りそんなことはないといえる。

なかでもステアリングのアップグレードが全てを物語る。旧モデルの4シリーズでは、コーナーの手前でターン・インを始める時、若干の修正を伴った。ステアリングから、そうするようメッセージを受け取るからである。適切な判断をして修正舵を当ててラインを修正するには自信がもてなかった。

けれど440iではそんなことはない。ステアリングの操舵感は素晴らしい。舵角を進めるに従って正確なロード・インフォメーションを探ることができるのだ。

各コーナーで必要な、スムーズで、流れるような操舵感のステアリングで、あなたは余計なことを考えず次に迫るコーナーのことを見つめていればいい。

それにしても何故430iと440iの間でそれほどの違いを生むのだろう。その理由を聞いてみた。

430iと440iが異なる理由

思い出してほしいのは、両車ともスノー・タイヤを装着しており、しかも、メーカーの異なるタイヤを装着していた。しかし、それだけではその原因が判明したとは言いがたい。

決定打となったのは440iのアダプティブ・ダンパーを備える新しいサスペンションだった。驚くほどに乗り心地もよい。さすがにロールス・ロイスのようなふわりとした印象ではないが、いやな突き上げや吸収の甘さがない。

もうひとつの疑問は、どうして440iのオートマティック・トランスミッションは、430iのそれと比べて、断然なめらかななのかという点。

440iには6速マニュアル・トランスミッションが標準で装備される。しかし、エンジンの能力を引き出すうえで、それほど多くの不満があるわけではない。

エンジンも素晴らしい。わずかに肥大化してはいるが、いつもどおりの6気筒の咆哮は言うに及ばず、力強く、息切れもしない。

近代のターボ・エンジンのなかでは、最も扱いやすい部類に入るだろう。グリップにおいてもそういえる。

高速道路の速度域における、ドア・ミラーからの風切り音が、唯一の気になる点である。

■「買い」か?

本命は440i、間違いない

今回のテストは生憎の天候のもとで行われたため、4シリーズの絶対的な評価を下すのは不可能である。しかし、これだけは自信を持って伝えられる。

いかなる理由があっても、430iコンバーチブルは避けるべきだ。一方で、何をしてもいいから440iクーペを手に入れるべきだ。

エンジンは素晴らしい。乗り心地も素晴らしい。ハンドリングにも文句のつけようがない。低いドライビング・ポジションはその気にさせてくれる。

つまりこういうことである。僕たちはドイツまで新しいバンパーの付いたクルマに乗りに行った。少なくとも新型440iクーペは、信じがたいほどの洗練を受けた小改良車であることを知った。

BMW 440iクーペ

■価格 £45,120(651万円) 
■最高速度 200km/h 
■0-100km/h加速 5.0秒 
■燃費 14.7km/ℓ 
■CO2排出量 159g/km 
■乾燥重量 1630kg 
■エンジン 直列6気筒2998ccターボ・ガソリン 
■最高出力 326ps/5000rpm 
■最大トルク 44.5kg-m/1380-5000rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック