『追憶』に出演した柄本佑。日本映画界の“レジェンド”降旗康男&木村大作の映画づくりについて明かした

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高倉健主演の『鉄道員 ぽっぽや』(99)などで知られる降旗康男監督と木村大作“キャメラマン”が再びタッグを組んだ『追憶』(5月6日公開)。25年ぶりに再会した3人の幼なじみの“秘密”にまつわる葛藤が描かれる本作で、岡田准一と小栗旬に並び、幼なじみのひとりを演じた柄本佑が撮影秘話を明かした。

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「降旗康男が僕のことなんかを知ってるはずがない!と思っていました」。日本映画界の“レジェンド”ともいうべき降旗・木村組のオファーを受けた時の第一印象について、率直な言葉で振り返ってくれた柄本。

実際に撮影が始まると、一発撮りが基本の降旗・木村組の無駄のないスピードにさらに驚かされたという。「とにかく撮影が早い!すでに画面構成が決まっていて、あとはセリフを言うだけの完璧な準備がされているからかもしれません。大作さん曰く『芝居は1回目がおもしろいんだよ。2回目から役者がいろいろ考え始めて余計なことするから』と。だから、セリフや芝居もワンテイクでしっかり決めなくてはいけない“キュッとした”緊張感がありましたね」。

そんなプレッシャーのかかる撮影現場だったというが、一方で降旗監督の大御所らしからぬ(!?)エピソードも。「僕の演じた役はもともと川端悟だったので、“サトル”として役づくりをしていました。ところが、本番である共演者さんが“サトシ”と言っちゃったのをきっかけに、監督は『じゃ、サトシにして』とあっさり僕の役名を変えたんです!監督は意外と細かいことを気にする感じじゃなかった(笑)」。

そんな“サトシ”について「僕が演じた悟は、足に先天性の障害を持ちながらも愛嬌のある性格で、幼なじみの四方篤(岡田)と田所啓太(小栗)の3人のなかでは、末っ子みたいな存在かな」と解説。「毎晩、撮影後にみんなで食事会があって、岡田さんのホテルの部屋でも飲んでいたんですよ。だから役柄同様にかなり親密になれましたね。そのことが役づくりに活きたような気がします」。

岡田と小栗の印象を尋ねると「岡田さんは幹が太くて芯の通った、まるで“屋久杉”みたいな人。一方、小栗さんは“頼れる兄貴”みたいに身近な感じがして…2人ともマジで超素敵な方ですよ!」と語るほど、彼らの人柄にすっかり魅了されたようだ。

憧れのスタッフ・キャストに囲まれ、「昔はこういう現場が普通にあったんだよなぁ…」としみじみ思うような濃密な時間が過ごせたという柄本。「現場では怒鳴り声が飛ぶほど活気があるけど、スタッフさんたちが一丸となって、監督の『よーいドン』で始まる、“映画作り”っていうものを堪能できた撮影でした」と語る表情は幸せそうだ。

“レジェンド”たちの映画作りを肌で感じられたことは、柄本にとって俳優冥利に尽きる経験だったのだろう。「降旗さんや大作さんが今、僕ら30代半ばの俳優たちと組んで、“活動屋”的な映画の雰囲気を残していこうとしてくださるのを感じました。とにかく幸福な現場でしたね」。【取材・文/トライワークス】