不動産選びの指標「立地適正化計画」とは

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マイナス金利の影響で、住宅ローン金利は低水準を保持。マイホーム購入には有利な状況が続いている。

物件価格に関しては、現在の不動産市場を「バブル」と見る向きもあるが、実際はバブルというほどには高騰していない。ここ数年で都心部の不動産が値上がりしたのは事実だが、リーマンショックや東日本大震災後に急落した市場価格が、適正水準に戻っただけにすぎない。マイホーム購入を考えている人は積極的に物件探しに乗り出すべきだろう。その際、まずこだわりたいのが「立地」だ。不動産の価値の大部分は立地で決まる。その立地を考えるうえでの新しい指標に「立地適正化計画」がある。

不動産業界人にとっては常識だが、一般にはあまり浸透していない「立地適正化計画」。簡単にいうと、土地を「住みやすい区域とそうでない区域に分ける」ことだ。

これからの日本は急速に人口減少が進む見通しだが、そうなると市区町村の税収も減少が予想される。現時点で、すでに少子高齢化が進行しつつある市区町村ほど問題は深刻だ。税収減で財政難に陥れば、現状と同レベルの安全な住環境の維持(インフラ整備など)さえ難しくなりかねない。

しかし、それは住民が広範囲に分散して居住しているからであって、大部分の住民の生活エリアが一地域に密集すれば、効率的に税金を投じ、環境を保持できるはずだ。

そこで、住民の住まいや公共施設、商業施設、医療施設などを一定エリアの中に密集させ、「コンパクトシティ」(居住誘導区域)を形成する計画が打ち出された。

コンパクトシティ構想は政府主導で数年前から検討されていたが、2016年に「都市再生特別措置法」が改正され、立地適正化計画が創設されたことから、一気に現実味を帯びてきた。もちろん、簡単にできることではないので、数十年単位の長期計画となる。

立地適正化計画の落とし穴は、居住誘導区域ではない区域が、自治体からケアされなくなるということ。結果的に、荒廃してしまう恐れがある。

そんな場所に不動産を買うとどうなるかは、推して知るべしだ。近隣の公共施設などが居住誘導区域に移転し、近くのバス停にバスが通らなくなり、陸の孤島のように取り残されることも考えられる。

もちろん、資産価値の暴落は免れず、住宅ローンを支払い終えてから、二束三文で手放すことになりかねない。

立地適正化計画について、不動産会社に説明義務はない。自分から質問したり調べたりしないと、知らずに居住誘導区域外の不動産を買ってしまう可能性もある。

国土交通省のサイトでは立地適正化計画に着手している自治体の情報を閲覧できるので、不動産を買う前に確認を。

たとえば東京都では、17年1月時点では、日野市と福生市が取り組みを始めている。他の道府県では札幌市や仙台市など政令指定都市でも立地適正化計画を作成。国土交通省の公開資料によると、すでに全国289の自治体が着手している。

また、今は計画していなくても、いずれ計画する都市も出てくるはずだ。断言はできないものの、大きな駅の周辺で、公共施設がすでに密集しているエリアが指定される可能性が高い、と見ておいていいだろう。そのような場所の物件は価格が高い。しかし「安物買いの銭失い」にならないよう、多少割高でも好立地を選択したい。

(不動産コンサルタント 長嶋 修 構成=元山夏香)