群馬戦の後半は、田口(7番)と和泉の2ボランチが流動的に動いてパスワークを活性化した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 名古屋が強かったのか、群馬が弱かったのかを、このゲームから判断するのは難しかった。ただし、名古屋がJ2下位クラブをひと飲みにする破壊力と、伸びシロを備えたチームであることは疑いの余地がなかった。
 
 J2リーグ10節の名古屋戦、群馬が選んだ戦術は「前線からのプレッシング」だった。ホームチームは1トップ・2シャドーの3枚で名古屋の3バックを抑えにかかる。さらに、松下裕樹、鈴木崇文の2ボランチが、攻撃の起点になる田口泰士、和泉竜司を潰しにいった。
 
 この選択は、前半のうちは奏功した。実際に群馬は、前半アディショナルタイムに左CKから先制に成功し、1-0でハーフタイムを迎えている。中盤で相手キーマンをケアした鈴木は、「前半は相手のボランチに、僕と松さん(松下)がプレッシャーをかけることができて、リズムができていた」とピッチ上での現象を振り返った。
 
 一方、名古屋の玉田圭司も「うちに対して、前からプレスをかけてくるのが多くのチームの戦い方。今日も、立ち上がりにリズムがつかめず先制されてしまった」と前半の不出来を認めた。「プレスから逃げることもできるが、風間監督は『プレッシャーを楽しめ』と言っている。プレスを打開すれば、チャンスになるので、そこまでのチームにしなければいけない」と続けたが、指揮官の目指すスタイルを完全には表現できてはいなかったのだ。
 
 ただ、後半に状況は一変する。名古屋は1点ビハインドで迎えたハーフタイムに微調整を加えたが、群馬は前半同様にプレスを仕掛けていった。そこが勝敗の分かれ目だった。
 
 名古屋は、田口、和泉が流動的に動いてプレスの矛先をかわす。さらに、ボランチへのサポートを厚くして、素早くボールを動かした。60分過ぎに群馬の圧力が下がってからは、名古屋がボールを保持する時間が増えていった。
 
 そうして迎えた63分に、和泉が左サイドを突破し、ゴール前へマイナス気味のクロスを送る。それを酒井隆介がダイレクトで合わせて同点に追い付くと、そこからの10分間で、シモビッチ、永井龍がゴールを叩き込んで、群馬を瞬殺。90+1分には、フェリペ・ガルシアがトドメの4点目を叩き込んだ。
 後半に4ゴールを挙げて3試合ぶりの勝利を挙げた名古屋だが、危ないシーンがなかったわけではない。
 
 名古屋の総シュート6本に対して、群馬のシュートは7本。スコアこそ大差となったが、決定機はほぼ同じで、群馬に決定力を備えるFWがいれば、ゲームの行方は分からなかった。J2の決定力の無さに助けられてはいるが、名古屋の守備には綻びがみえるシーンがあった。

 J2という未知なる世界に挑む名古屋は、10試合を終えて6勝2分2敗で、横浜FCに次いで2位につける。
 
 風間八宏監督は「J2の舞台? 自分たちのチームは始まったばかりのチームなので、周囲をみてJ2について何かを言えるような余裕はない。まずは自分たちがしっかりと歩けるように、サッカーを構築していくことが重要と考えている」と足下を見つめる。
 
 名古屋の戦力は、今季のJ2では突き抜けている。ならば、敵はJ2クラブではなく、自分たち。風間監督率いるタレント軍団は、“内なる敵”と戦いながらJ1復帰を目指す。攻撃力は計算できるだけに、守備の構築が今後の課題となりそうだ。

取材・文:伊藤寿学(スポーツライター)