米メディアの報道によると、アップルは6月に開催する開発者向けイベントで、米アマゾン・ドットコムの「Echo(エコー)」シリーズに対抗する音声アシスタント機器を発表する可能性があるという。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

ハイエンド市場に向けた機器

 これは、アップルの動向に詳しく、独自の調査でその新製品や発売時期を当ててきたことで知られる、台湾KGI証券のアナリスト、ミン・チー・クオ氏が5月1日付で出した調査ノートで報告したもの。

 アップルの動向を追うマックルーマーズ、アップルインサイダー、9to5Macなどの米メディアが、この調査ノートを入手し、同日、この話題を一斉に報じた。

 アップルは6月5日に、米カリフォルニア州サンノゼで、「WWDC(Worldwide Developers Conference )」という開発者向けイベントを開催するが、クオ氏によると、アップルはこの会場で、AI(人工知能)を使ったアシスタントサービスを利用できる家庭用のスピーカー型機器を発表するもよう。

 クオ氏を含むKGI証券のアナリストらは、その可能性は50%以上あるとしている。アップルはその機器を今年後半に発売し、アマゾンが発売を予定しているEchoシリーズの新モデルに対抗するのだという。

 またクオ氏はこのアップル版AI機器について、より具体的なことにも触れている。

 同氏によると、この機器に備わるスピーカーシステムは1つのウーファーと7つのツイーターで構成され、優れた音響性能を持つという。また、内部のコンピューティング性能は、iPhone 6や同6sに搭載されているものに似ているという。

 これにより、この機器の位置付けは、(1)ハイエンドの市場に向けたものであり、(2)より良いエンターテインメント体験をもたらすものであり、(3)アマゾンのEchoよりも高価格なものになる、とクオ氏は報告している。

アップル版AI機器をめぐるさまざまな観測

 アップルがこうした、アマゾン対抗の音声アシスタント機器を開発しているという観測は、これまでもあった。

 例えば、昨年(2016年)5月には、米国のテクノロジーニュースサイト、ジ・インフォメーションが、アップルが自社の音声アシスタントサービス「Siri」を利用できる、単体の専用機器を開発していると報じている。その同じ月には、米シーネットが、アップルは現在開発している音声アシスタント機器に、カメラを搭載することを検討していると伝えた。

(参考・関連記事)「ついにアップルも音声アシスタント機器を開発」
(参考・関連記事)「アップルが開発中と噂の音声アシスタント機器」

 さらに同年9月になると、米ブルームバーグは、アップルが開発している家庭用音声アシスタント機器は、研究室から飛び出し、実用試験の段階に入ったと報じた。

 ブルームバーグによると、アップルの機器は、アマゾンのEchoなどと同様、音声命令で各種の家電製品や照明機器、玄関の鍵などを操作することができる。アップルは、アマゾンなどの他社製機器と差別化するために、より先進的なマイクとスピーカーを採用する計画だともブルームバーグは伝えていた。

(参考・関連記事)「アップル、音声アシスタント機器を市場投入か」

アマゾンはファッション市場狙う機器を投入

 アップルが市場投入すると見られているこうした音声アシスタント機器の市場は、まだ本格開花していない。しかし今後は、さまざまな製品の登場とともに、市場は活気付くと見られている。

(参考・関連記事)「AI音声アシスタント市場、2020年に2000億円超」

 アマゾンは、この4月下旬、Echoシリーズの新モデルとして、カメラ機能を備えた「Echo Look」を発表した。その主な用途は、ユーザーが姿見に映したような自分の画像を撮り、日々着て出かける衣服の見栄えやコーディネートを確認できるようにすること。

 アマゾンがなぜ、こうしたファッション市場を狙った機器を開発したのか、その戦略について同社は詳しく述べていない。

 ただ、米ウォールストリート・ジャーナルは、こうした音声アシスタント機器の多様な展開について、将来は企業向けのセキュリティシステムやオンライン会議システムなど、より広範な市場に向けた製品開発が進むだろうと報じている。

(参考・関連記事)「アマゾンがファッション用途の機器を開発した理由」

筆者:小久保 重信