「睡眠」は新たなエクササイズ? 英スポーツジムが新プログラム

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あなたはこれまでに、何人もの知らない人たちと一緒に眠りたいと思ったことがあるだろうか?それもスポーツジムで、お金まで払って──。

ロンドン南東部シドカップにあるスポーツジム、デービッド・ロイド・クラブでは、60分間の「ナパサイズ(Napercise)」クラスを開催している。4月27日の時点では無料の体験クラスを提供しているのみだが、十分な集客が見込めると判断すれば、クラブは今後、正式なクラスとして有料化し、国内各地で開催する方針だという。ハフポスト(旧名ハフィントン・ポスト)によれば、無料体験クラスにはすでに、100人以上が参加を申し込んでいる。

昼寝を意味するナップ(nap)とエクササイズを合わせて命名された「ナパサイズ」のクラスは、体のストレッチから始まる。その後、ベッドで45分間の睡眠を取り、起きたらもう一度ストレッチをして終了する。参加者たちにはブランケットとアイマスクが貸し出され、「インストラクター」がムードミュージックをかけて、リラックスできるように室内温度を低めに設定してくれる。

このクラスが有料化されれば、以前は料金を支払う必要などなかったことが有料になる「トレンド」は、相変わらず続いていくということになる。ジムでできる運動というのは、昔は「作業」と呼ばれていたもの(重たい物を持ち上げたり、運んだりすること)ではなかっただろうか?その他の人間の通常の活動の中にも、「〜サイズ」と付ければジムの有料のプログラムになり得るものが、いくつあるだろうか。

そして、ナパサイズは「エクササイズ」と呼べるものなのだろうか?辞書の「エクササイズ(運動)」の定義からいえば、そうとも言えない。ただ、ナパサイズに対する潜在的な関心の高さは、各国の数多くの人たちに睡眠が不足しているという事実に改めて目を向けさせるものだ。

睡眠不足は損失を生む

英BBC放送が同国の非営利団体ランド・ヨーロッパ(RAND Europe )の調査結果として伝えたところによれば、英国は労働者の睡眠不足が原因で年間20万日分の労働時間を無駄にしている。また、それによる損失額は年間400億ポンド(5兆7700億円)に達するという。同様に、米国でも同120万日分が無駄にされ、4110億ドル(約46兆円)が失われている。

米国では、推奨される1日最低7時間の睡眠を取ることができない人が成人の約3分の1だという。米疾病対策センター(CDC)によれば、2009年に実施された調査の結果、同国の成人のうち「ここ1か月の間に、日中に意図せず眠ってしまったことがあるか」との質問に、「ある」と答えた人は34%を超えていた。また、「ここ1か月のうちに、車の運転中に居眠りしてしまったことがある」と答えたのは、25〜34歳の7.2%、35〜44歳の5.7%、45〜54歳の3.9%だった。

睡眠不足の人がこれほど多くなっている中で、昼寝のためのスペースを提供する企業は増えると予想されている。米国企業600社を対象とした2011年の調査では、従業員に昼寝ができる場所を提供していたのは6%だった。

ミレニアル世代の女性向け情報サイト「バスル(Bustle)」によれば、自宅以外で昼寝ができるのは、1)机の下、2)倉庫、3)地下室、4)車の助手席、5)路線バスの車内、6)地下鉄の車内、7)ホームパーティーの会場のソファー、8)映画館、9)デパートの家具売り場、の9か所だ。

一方、ナパサイズについては、クラスはストレッチと睡眠を組み合わせるだけの内容のようだ。恐らくその代わりとなる無料の何かを、見つけることができるだろう。お金を払って参加したいかどうかは考え方しだいだが、ベッド(たとえジムに置いてあるものであっても)の中で横になることと、エクササイズを混同しないよう、気を付ける必要はありそうだ。