東芝は、巨額損失を背景とした経営再建に向け、半導体メモリー事業の売却を目指している。4月1日、分社化して東芝メモリを設立、その売却交渉を進めているが、半導体メモリー事業で提携しているアメリカ企業ウエスタンデジタル(WD)の合意が得られず、東芝メモリ社への事業移管が滞っているという。

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 東芝のメモリー関連事業の資産の大半は既に東芝メモリ社に移管されているが、三重県四日市市の四日市工場に関するものはWDとの合弁会社であるフラッシュフォワード合同会社の持ち分となるため、WD社の同意がなければ移行することができない。東芝は「協議中」としているが、メモリー事業売却それ自体に反対しているWD社が、何らかの対抗措置を取っている可能性があるという。

 フラッシュフォワード社は出資比率でいえば東芝50.1%、WDが49.9%であるが、合同会社であるため、出資者が「社員」という肩書で経営に関与し、持ち分の第三者譲渡には、全社員の承諾を得なければならない。

 過ぎる4月中旬、WDの最高経営責任者(CEO)であるスティーブ・ミリガン氏は、東芝の半導体事業売却は同社との契約違反に当たるのではないかと指摘、警告を行っていた。また、WDは独占交渉権を与えられるべきだとも主張しており、さらに、報道されているメモリー事業の価格は適正ではないとも主張していたため、経営再建のためにこれを高く売らなければならない東芝との間で意見の齟齬を生じているのかもしれない。

 東芝メモリ社は、四日地工場なしでは事実上、事業運営そのものが成り立たない状態にあるという。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が実に「3兆円」という買収額を提示しているとも伝えられてはいるが、このままでは競売にかけることそのものが難しくなると考えられ、東芝としては、経営再建に向けた苦しいかじ取りを迫られている格好だ。