期待はずれ?ドラマ「あなたのことはそれほど」がズレてるポイント

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 微妙な女性心理を描くことで大きな評価を得ている、いくえみ綾先生のW不倫モノ『あなたのことはそれほど』。待望の……と言いたいとこだけど、正直あんまり映像化を期待してた人っていない気がします。

 これまでもヒットした少女マンガ原作のドラマはいくつもありました。『花より男子』や、記憶に新しい『逃げるは恥だが役に立つ』など。これらにはみんな共通点があります。

 それは「キャラが立っていること」です。『花より男子』の道明寺(ドラマでは松潤が演じた)は、おバカな俺様という明快なキャラ設定がありました。『逃げ恥』の平匡さん(ドラマでは星野源が演じた)は理数系で高齢童貞で不器用という設定。そして『逃げ恥』ではそれ以上に、今まで女たちがモヤモヤしていながら解決していない家事労働問題の提起がありました。

 漫画と実写ではメディアが違うので、求められるテンポや情報量が違います。そのギャップを埋めるのがキャラの濃さだと思うのです。

◆第1話は期待外れだったけど…

 第1話は、正直言って大きく期待はずれでした。原作にない大仰な結婚式シーン。見知らぬ花嫁が主人公・美都(波瑠)の目の前で別の男と逃げるというドラマみたいな(笑)展開が繰り広げられました。

 美都の心理を丁寧に描いてはいるのですが、各シーン、妙に大げさな割には言っていることの底が浅くて、いくえみファン、原作ファンは失望を隠せなかったと思います。

 美都の夫役である東出昌大はフツーにイケメンで原作のように子熊には見えないし、登場人物すべてが美男美女に置き換わっているところが、原作の魅力であるリアリティを大きく損なっています。そのためか第2回は視聴率を下げて一桁へ。

 しかし第2話ですでに、真面目に原作を求めてはいけないと視聴者はわかってきました。そもそもストーリーのアレンジも大きく、原作にない美都の勤め先のセクハラ眼科医も、味があると思えば味がある。だんだんとこのドラマの楽しみ方が見えてきました。

◆ドラマ版では悪意のなさを感じない

 原作では淡々と進んだW不倫も、ドラマでは少々ドラマチックに展開します。キャラ各自の状況説明は終わり、いよいよ本題に入るのでしょう。

 原作では、後先考えない美都のだらしなさが、読者の共感を呼んでいます。不倫など倫理的によくないと言われていることをやってのける人たちの大半は、悪意があるわけではないのだと思います。3手先、5手先を読める人などほとんどいません。後先も考えず、覚悟もなく「なんとなく」始めたことで大きく現状が崩れて行ってしまう。原作にはそういう怖さがあります。

 ドラマでは、そうした怖さよりも、キャラたちの悪人っぷりが目につきます。なんの罪悪感もなく不倫をやってのける波瑠に、嫁が出産で帰省中にほかの女とラブラブメールを繰り広げて浮気する鈴木伸之……。

 そして、今後の視聴率を左右するのは、間違いなく東出昌大の壊れっぷりでしょう。嫁の波瑠に対する嫉妬で、どんどんとおかしくなっていく様子を、どれだけ狂気を持って演じられるか。いっそ奇声を上げるとか変態プレイにいそしむくらいのキモさを出していって欲しいです。

 原作はまだ完結していないので、2人がどうなるのかはドラマ独自の展開になるかもしれません。そこもこのドラマの楽しみのひとつでしょう。

 本日5/2放送の第3話はどう話が進むのか気になります。

<TEXT/和久井香菜子>