連続ドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系)。1話では、その家庭内ストーカーぶりと狂気染みた眼力で涼太(東出昌大)がヤバイと思ったが、本当にヤバイのは主人公の美都(波瑠)かもしれない。


あらすじ


久しぶりに会った有島(鈴木伸之)にトキメキ一線を越えてしまった美都。これを運命だと感じ、どんどん有島にのめり込んでしまう。しかし、涼太は毎晩の様に美都のスマホをチェックし、新たに有島の名前が登録されているのを見つけてしまう。上手く騙せていると思い込んでいる美都は、涼太の大阪出張に合わせ有島と温泉旅行にでかける。そこで、有島には妻がいて子供が産まれるという事実を知る。

乙女過ぎる不倫に共感はゼロ、主人公の波瑠がむかつく


美都がとにかく軽い。いや、むしろ感じが悪い。今後、この主人公に共感なんて出来るのだろうか?まず最初にむかついたのが、親友の香子に「まさかヤッちゃってないよね?」と聞かれたシーンだ。波瑠は、軽い女と思われたくないと思ったのか「飲みに行っただけ」と嘘をついてしまう。そこまではまぁいい。全然理解出来る。問題はその後だ。「有島変わってた?」と聞かれると、「ちょっとお互い大人になっただけ」と、ほんのりヒントを出しやがった。完全に舞い上がっている。「あんた酔ってる?」、「うふふ」(酔ってる、恋に)と脳内で返事したところなど問題外だ。

花見で有島にたこ焼きを食べさせてもらうシーンでは、涼太の料理を引き合いに出し「ホワイトアスパラより、アンデスの塩より、今は断然たこ焼きが美味しい」とか脳内で幸せを噛み締め出す始末。美都には、涼太に申し訳ないという気持ちはないらしい。

他にも「運命が降ってきたから、悪い人になっちゃった」や「(有島への)初恋が嘘でよどんだ気がする。気持ちは一番純粋なのに」など、ムカツクワードを脳内で連発する美都。涼太がヤバイ奴だと思っていたが、どうやらこのドラマで一番ヤバイ奴は、主人公の美都らしい。

あれ?これって意外とアリじゃない?


不倫をする主人公には「止めたいのに止められない!」という葛藤を持って欲しい。そうじゃないと不倫ドラマは成立しない。と、思っていたのだが、よくよく考えるとこれはこれでアリなのではないだろうか?

不倫相手の有島は確かにチャラ過ぎるが、嫁と子供は大事にした上で、上手に遊ぼうという意思が見られる。その姿はある意味リアルで大人、不倫ドラマとしてはアリだ。

有島の嫁である現在妊娠中の麗華(仲里依紗)は、旦那の不倫も何となくは察しておりその上で、家族を守ろうとする幸の薄い女の片鱗を見せている。まだ登場機会が少ないが、もしかしたら一番共感を呼ぶ人物になるかもしれない。

そして涼太は、美都に振り回されて頭がおかしくなってしまうという、一番面白みのあるキャラクターになりつつある

つまり、美都がアホ過ぎるおかげで、意外と他の、特に涼太と麗華のキャラクターは立っているのだ。これが下手に美都に共感出来てしまうと、二人の悲壮感は半減してしまう。つまりアホ過ぎる美都を完全な悪と捉えて、振り回される人たちの心情を見るドラマということだ。

まだまだ物語の方向性が見えない「あなたのことはそれほど」だが、美都の動き方次第では一気に化けそうだ。そして主役である美都が不幸のドン底に墜ちて、視聴者の溜飲が下がる。アホ過ぎるが故の悪役路線の主人公も、悪くないかも知れない。

(沢野奈津夫@HEW)