Amazonの日本法人であるアマゾンジャパンは、出版取次大手日販との取引に関し、日販に在庫がない既刊書籍の調達のみ、6月末で取りやめることを明らかにした。代わって、出版社から直接取引する方式に改めるという。将来的には、これまで出版界で大きな存在感を発揮してきた出版取次の立場が大きく変遷する可能性もあり、注目に値する動きと言えよう。

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 そもそも取次とは何か。ごく簡単にいえば出版取次というのは書籍の問屋であるが、決してそれだけの存在ではない。日本の出版取次は1909年に誕生、まもなく100年の歴史を迎えようとしているが、その果たしてきた役割は、極めて大きいものであった。

 日本には数千の出版社があり、減少傾向とはいえ今なお万の桁の書店がある。これら全てが相互に取引を行うことは現実的ではないため、取引総量を最小化するためには取次が必要である。

 取次の存在によって、小さな書店でも豊富な品揃えをすることができる。その最大の理由は、返本制度にある。そもそも書店にある書籍というのは、見た目には在庫であるが、実際には取次から委託されているものであり、無償で返却することができる。つまり、売れないかもしれないものを仕入れるリスクというものを書店が負わなくて済むのである。他にも、金融機能なども重要ではあるが、しかし何と言っても返本制度こそが取次というシステムの中核だ。

 これまでの百年近いその歴史において、陰にも陽にも取次こそが日本の出版の中枢であった。日本の出版取引は何においても取次を介することが原則とされていたのだが、しかし、Amazonの存在は、ついにこの取次という存在にまで影響を及ぼすに至ったようだ、というのが今回の一件である。

 ちなみに、今回中止になる取引は、詳しくいえば「日販バックオーダー発注」という。端的にいえば、Amazonが求める調達速度を日販が達成できなかっために、今回の事態に至ったものであるらしい。

 インターネット通販の台頭、そして電子書籍の出現によって、出版というものの全てが変わりつつある中、この激動はとどまるところを知らないようだ。