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■どんなクルマ?

極めてストイックなエリーゼ

ロータス・エリーゼ。あと3年もすれば、新型にバトンタッチすることになるはずだが、現行モデルがその役目を終える前に、最後の、そして少なくない変更を受けた。外観の変更と軽量化のふたつの項目が、今回の主な注目点である。

このクルマは、ジョージ・フォアマン、マルチナ・ナブラチロワ、ミハエル・シューマッハ的なスポーツカーだと思う。ハングリーであり続け、実力を保持し、そして物凄い競争力を保ち続けるような。

新しいクラム・シェル状のフロント部は、大きく口を開け、テールライトは左右4灯式から2灯式に改められた。ディフューザーは、アルミから造られており、9kgの軽量化に貢献している。

フェイズ1と同程度の車重に

ショート・ストロークのオープン・ゲート式のシフトレバーを採用することで1kgの軽量化に貢献し、オプションで装着できるカーボンファイバー製のサイド・シル・カバーは、900gの軽量化を果たした。

新導入のメーター類は認識し易く、エリーゼの史上初となる、ブルートゥースに対応するインフォテイメント・システムが装備されているのも重要だ。

今回の変更で最も注目すべき点は、1974年のエランに使用されて以来、ロータスの標準モデルには不在であった名称の復活である。

標準のエリーゼは、エリーゼ・スポーツと呼ばれ、これまで同じ1.6ℓ、または1.8ℓのスーパーチャージャー・エンジンを搭載する。

そして、追加されたこちらの「スプリント」バージョンは、さらに軽量化を図り、合計で26kgの軽量化を図っている。

重さに関して、1.6ℓのエリーゼ・スプリントのメーカー公表値は、798kgであるが、これは、スズキの小型SUVのイグニスに次いで、量産モデルにおける2番目に軽量なモデルとなる。

この軽量化を実現するために、ロータスが導入したのは以下である。

パーツ、どう変わった?

・鍛造アルミホイール(5kg軽量)
・カーボンファイバー製のロール・ケージ
・カーボンファイバー製のエンジン・カバー
・ポリカーボネート製のリア窓(6kg軽量)
・カーボンファイバー製のシート(6kg軽量)
・リチウムイオン・バッテリー(9kg軽量)

ロータスによると、このエリーゼは、フェイズ1と(規制、保安基準、顧客の要請を加味したうえで)同じ重量であるという。

つまり、発表以来、追加されてきたもの取り外すことで、元の重量とほぼ同じになるということである。

ドアの開口部は少し広がり、カーボンファイバー製の薄いサイド・シルを装着した場合は、乗降口の敷居も低くなる。新しい時計を気にいる人もいるだろう。

■どんな感じ?

まずはサーキットから

時間が制約されていた関係で、まずこのクルマをサーキットへ持ち込んだ。

今回の軽量化によって達成された、パワー・ウエイト・レシオの改善と同じだけの効果を求めたなら、10psの出力の上乗せが必要である。134psを有するクルマにとっては大きな違いである。

出力の向上は、コーナリング・スピードを上げるわけではないし、軽快さや操る楽しみを大幅に削いでしまうが、一方で軽量化は全てにおいて効果的である。

伝統的なロータスそのもの

エリーゼ・スプリントは、喜びそのものである。エンジンのサウンドは濃密で、シフト・チェンジは、恐らくロータスの中では、オリジナル・エラン以来で最も優れたものである。

味つけは伝統的なロータスそのもので、流れるような乗り味を持ち、つづら折りのカーブで有名なヘゼル・サーキットでは、クルマの方向を変えるたびに積極的についてくる。

しかし、サーキットでそれなりのスピードで走らせると、安心感は少し低下する。ミドに搭載されるエンジンとLSDの不在のこのクルマをドリフト・マシンとは言い難いと思うのだ。

ロータスがスプリントに175のフロント・タイヤを与えたことを嬉しく思っている一方で、800kgの重量に134psのエンジンを搭載し、トラクションの問題が不在ならば、リア・タイヤの幅は225ではなく、205でもよかっただろうと思う。

パワーとウエイトを考えると、205で十分だと思うしし、軽量化の作用もある。

サーキットでその性能をフルに引き出す走りをしたい向きには、エリーゼ・カップが用意されているというのもある。

公道での印象は?

一方、公道では、スプリントに不満は見当たらない。軽量化が革命的な何かをもたらすわけではないのだが、既に十分磨き上げられた操縦性を、さらにシャープにしているのである。

限界まで攻め込むのではなく、右足でこまめにアクセルを操作することで荷重移動をし、コーナーの頂点を目指したり、立ち上がったりする運転がとても楽しい。

ブレーキ・フィールも申し分ない。

ステアリングを通じて感じ取るロード・インフォメーションを鑑みながら、パワーを乗せていく。重くて、鈍感なクルマでは得られない快感がそこにある。

■「買い」か?

極めて好印象 最終判断は「スポーツ」と比べて

スプリントは、スポーツに対して£5,000(72万円)の出費を伴うが、ニューモデルになった後者をテストしてない現段階で、このアップグレードがそれだけの価値があるかどうかを判断することは難しい。

一方、この価格帯の他のクルマと比較した時、判断はずっと簡単になる。この水準のドライビング・プレジャーと、時と目的を問わない十分な実用性を持ち合わせるクルマは稀だからである。

これほど長きにわたり、(ほとんど)同じカタチで、さまざまな味つけをし、なおかつ失敗しなかったクルマはあまり見当たらない。

3年後に終焉を迎えるこのクルマのキャラクターは、最後まで変わることはないだろう。名車の域にある。

ロータス・エリーゼ・スプリント

■価格 £37,300(537万円) 
■最高速度 203km/h 
■0-100km/h加速 6.2秒 
■燃費 15.8km/ℓ 
■CO2排出量 149g/km 
■乾燥重量 798kg 
■エンジン 直列4気筒1598ccガソリン 
■最高出力 134ps/6800rpm 
■最大トルク 16.3kg-m/4400rpm 
■ギアボックス 6速マニュアル