清水エスパルスのFWチョン・テセ【写真:Getty Images】

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劇的な展開で追いついたフロンターレ戦

 今季からJ1に復帰した清水エスパルス。アウェイで印象的なパフォーマンスを披露するいっぽうで、ホームではなかなか白星が得られていない。この違いにはどういった原因があるのだろうか。(取材・文:ショーン・キャロル/翻訳:フットボールチャンネル編集部)

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 2017年のここまでの清水エスパルスは、ある意味「ジキルとハイド」のようだった。最近の大宮アルディージャ戦や川崎フロンターレ戦で見せた反撃のように、印象的な反発力を発揮することもあるが、ホームではいまだ1勝も挙げられていない。

 4月21日のフロンターレ戦は、2015年にクラブ初の2部降格を強いられた頃と比較すれば、現在のエスパルスがはるかに倒しにくいチームになっていることを示すかのようだった。小林伸二監督の率いるチームは、14分に金子翔太のゴールで奪ったリードを失い、1-2のスコアでタイムアップに近づく状況の中でも心が折れることはなかった。

 等々力でヒーローとなったのはまたしても、最近チームに加入したチアゴ・アウベスだった。大宮と1-1で引き分けた第7節の試合終盤に白崎凌兵の同点弾をアシストしたのに続いて、第8節は試合のまさにラストプレーで自ら2-2のゴールを奪ってみせた。

「前回の試合と同じく、今回も負けそうな試合をドローに持ち込むことができました」とアウベスはチームの奮闘ぶりについてコメント。「今は単なる勝ち点1に思えるかもしれませんが、長い目で見ればこういう勝ち点がすごく重要になってくると思います」と語った。

 同僚のFWチョン・テセも同様の考え方を述べている。

「この1ポイントは大きいです。すごく大きいと思います。この試合を落とせば今後への自信を失うところでしたが、負けなかったことには大きな意味があります」と33歳のストライカーは話す。

「勝てそうな試合で負けるチームは落ちていく。負けそうな試合で引き分けるチームは上がっていく。引き分けそうな試合で勝てるチームはさらに上へ行くことができます。そういう意味で今回は、本当に何かを手に入れられたと思います」

「僕らの強さは、チーム一丸となってしっかりと守り、そこから速攻を繰り出すところにあります。攻撃に良い選手はたくさんいますからね」とテセ。「今日も2点取れましたし、今季はほぼいつもそれができています」

日本平では勝ち点1しか得られていない現状

 前線のパートナーである金子はさらに、清水がJ1での試合に臨む上での姿勢について説明してくれた。

「チームとしても個人としても、まずは守備に集中して試合に入っています。そこからゴールを増やせるように積み上げていきたいと思っています。今日は2点目を取りにいって取れましたが、それまでは難しい試合でした」と21歳の彼は語った。

 試合の行方を左右する上で、交代選手が決定的な貢献を果たすことも多い。川崎戦での終了間際のアウベスのゴールはその顕著な例だが、同じく交代で出場した村田和哉やミッチェル・デュークも、試合終了が迫る時間にチームが前へと向かうエネルギーを加える存在となった。

「(J1は)はるかに厳しい戦いになる。そういう接戦の中で、1-1でも、0-1で負けている状況でも、交代の選手たちが入って試合を変えようとする。僕ら3人全員がそういうプレーをして、今日は幸い勝ち点1を獲得することができました」とデュークは試合後に振り返った。

「今年はかなり力強くシーズンをスタートできたと感じています。高い目標を持って、順位表の上半分で終えたいですね。それが一番の目的で、それ以上やれるならボーナスのようなものです」

 一方でチョン・テセは、物事を一歩ずつ捉えていきたいと語る。

「個人的には、降格しないこと(が目標)です」とテセ。「もちろんどうなるか分からないですし、もっと上に行ける力は実際にあると思っています。それでも今日は、両チームに力の差があると本当に感じました」

 彼が浮かれることなく慎重な姿勢を取っていた理由は、チームの次の試合を見れば明白だった。ベガルタ仙台に敗れたエスパルスは、今季のアウェイゲームでここまで勝ち点10を獲得する一方で、日本平では4試合で勝ち点わずか1しか得ることができていない。

アウェイで勝ち点を獲得し続けるのは容易なことではない

 ホームのファンの前でシーズン序盤に苦戦するのは、「去年も同じでした」とテセは振り返る。

「ホームで一度勝てればあとは大丈夫だと思います。ホームでは少し硬くなってしまう感じです。アウェイで戦う時には無失点を守れるようにやれることをやろうとチーム内で約束していますが、ホームではもっと攻めに出なければいけません。そのことが、自分たちのやりたいサッカーをできる力の妨げになっているかもしれません」

 デュークもまた、その部分に難しさを感じている。

「選手たちのメンタル面で、ホームでの試合の方が強くプレッシャーを受けるのかどうかは分かりません。絶対に勝ち点を取らなければならないように感じて、自分たちにプレッシャーをかけてしまうんでしょうか」

「客観的に言えば、アウェイで勝ち点が取れているのは本当に良いことだと思います。普通はその方が難しいことですからね。できればホームゲームもそこにプラスして、勝ち点3を取れるようにしたいと思います。それができれば僕らにとって本当に大きなことです」

 先週末の試合では、直近のリーグ戦4試合で16失点を喫していたベガルタと対戦。清水がホームで結果を出すための理想的なチャンスになるかと思われたが、またしても0-3の敗戦という結果に終わってしまった。

 デュークも指摘するように、アウェイで勝ち点を獲得し続けるのは容易なことではない。早急な軌道修正が必要になりそうだ。残留に成功するのか、降格の波に飲み込まれてしまうのか、その部分が差を分けることになるかもしれない。

(取材・文:ショーン・キャロル)

text by ショーン・キャロル