夫との離婚を求めているナディアさん。アフガニスタン・ジャララバードにある弁護士事務所で(2017年1月16日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】家父長制が根強く、家庭内虐待が日常茶飯事のアフガニスタンで離婚はまれだが、ヘロイン依存症の夫からの暴力行為に耐えかねたナディアさんは夫を捨てた──。これは、多くのアフガニスタン女性には思いもよらない行動だ。

 この国では今、新たな形でのエンパワーメントとして離婚に踏み切り、自立性を取り戻そうとする女性の数が増加している。このような現象がみられるのは初めてだ。

 イスラム法でも離婚は許されているが、それでも最悪なパターンと考えられており、夫と別れる女性を許さない文化が形成されている同国では虐待そのものよりもさらに大きなタブーとされている。

 ナディアさんは2年間、婚姻関係にあった男性について、「彼は薬物とアルコールの依存症だった。これ以上、一緒には暮らせない」と、全身を覆うブルカの奥で静かに涙を流した。部族の長老らは仲裁を試み、よりを戻すようナディアさんをなだめた。だが、ナディアさんは一族の中で離婚を求めた最初の女性となった。

 ナディアさんは現在、国連開発計画(UNDP)プロジェクトの一環で2014年に創設された「リーガル・エイド・グラント・ファシリティ(LAGF)」の支援を通じて法的に離別する方法を模索している。「神は女性に権利を与えた。離婚はその一つ」とナディアさんは語る。

 ナディアさんの夫は家を出て行き、その後の所在は不明となっているという。

 全国的な統計は入手困難だが、アフガニスタン全土でLAGFが手掛けた離婚件数は過去3年間で12%増となり、離婚は増加傾向にある。

 女性を蔑視する旧支配勢力タリバン(Taliban)が2001年に権力の座を追われて以来、アフガニスタンでは女性の権利を求める動きが活発化しているが、離婚問題は男女平等という目標がいかに実現困難であるかを示す象徴ともなっている。

 離婚は男性にとっては比較的容易で、多くの場合は、離婚すると男性が妻に口頭で伝えるだけで処理される。だが、女性の場合は裁判を起こす必要があり、しかも夫との離別を要求する際には虐待やネグレクト(扶養の放棄)など具体的な申し立てを行わなければならない。また、弁護士を雇うのは財力がある個人にとっても難しい。離婚訴訟で女性の弁護人が殺害の脅迫を受けることも珍しくないからだ。

■離婚調停でも、女性は妥協を求められる

 アフガニスタン社会では離婚した女性が自立して生活する事例はまれで、嫌がらせを受けることも多い。調停は離婚を防ぐ最後の望みとされるが、ほとんどの場合、女性は妥協を求められる。

 カブール(Kabul)で人権団体「アフガニスタン女性のための女性たち(Women for Afghan Women、WAW)」が行った調停をAPF記者が傍聴した。

 4児の母親であるザーラさん(24)はこの日、別居中の夫と義母と対面した。ザーラさんは、夫が薬物依存症であること、また近隣住民の娘と恋仲になり第2夫人にしたことを理由に離婚を申請していた。

「赤ん坊がいる目の前で彼は薬物を使用し、私を虐待し始める」。子どもにまとわりつかれながらザーラさんは話した。

 一方、彼女の義母は、「人生を棒に振るのはやめて、子どもたちのことを考えなさい」と異議を唱え、「息子のもう1人の妻は、息子が第2夫人をつくったのはあなたのせいだと言っている」と付け加えた。ザーラさんの夫は、実母が反論する中、表情一つ変えずに座っていた。

 ザーラさんは家を出てから、虐待の被害を受けた女性たち向けのシェルターで暮らしていた。こうした女性専用のシェルターは、保守的な人々には「売春宿」に例えられている。

「あまりに激しく殴られるので、義理のきょうだいのところに行って夫に薬物を買うお金を渡してやってほしいと頼んだこともある」と、ザーラさんは涙を流しながら訴えた。

 すると今度は、なんとか嫁を家に戻そうとなだめるような口調で「帰っておいで」「息子は二度とあなたをぶったりしないから」とザーラさんの義母は声のトーンを変えて語りかけた。
【翻訳編集】AFPBB News