近年、ゴールデンウィーク期間中の金融市場は荒れ気味だが、北朝鮮との地政学リスクが最高潮に達している現在、ゴールデン期間中はどんな動きになるのか。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に5月相場の動向をうかがった。

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 トランプ米大統領が突然始めた北朝鮮への容赦ない軍事的プレッシャーは、為替市場にも大きなインパクトをもたらしている。一時的に1ドル=108円台にまで振れたドル円相場だが、111円台に戻った現在も神経質な動きを続けている。近年、ゴールデンウィーク期間中の金融市場は荒れ気味だが、北朝鮮との地政学リスクが最高潮に達している現在、ゴールデン期間中はどんな動きになるのか。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さん(写真)に5月相場の動向をうかがった。

――北朝鮮との地政学リスクが大きな焦点になっていますが……?

 今年のゴールデンウィークは、かつてないほど様々なリスクにさらされた休日になりそうです。朝鮮半島情勢の緊迫化、5月7日に実施されるフランス大統領選挙の決選投票、そして一時的に回避されたものの米国暫定予算の期限切れによる政府機関の停止などなど、5月だけで数十年に一度の地政学リスクや政治リスクなどが押し寄せている状況です。

 とりわけ、北朝鮮に対する米国の姿勢は「戦略的忍耐」から一気にヒートアップして緊迫度が増しています。トランプ大統領自身がロイターとのインタビューで「最終的に北朝鮮と大きな、大きな紛争が起きる可能性がある」「外交的に解決したいが、非常に困難だ」と述べ、空母「カールビンソン」を朝鮮半島沖に向かわせるなど、臨戦態勢とも言える言動を繰り返しています。まさに、一触即発の外交政策が続けられています。

 中国が鍵を握っていると言われますが、万一「北朝鮮対米韓の全面戦争」に発展した場合、為替市場がどんな動きになるのか、難しい判断になります。毎年、ゴールデンウィーク中の為替相場は日本市場が休みになるために、大きく揺れ動くことが多い。今年も、要注意の1週間になりそうです。

――地政学リスク以外での米国経済は?6月の利上げはあるのでしょう?

 この4月28日に発表された17年1―3月期の米国内総生産(GDP)は、速報値で前年比0.7%増(年率換算)でした。昨年の10-12月期の2.1%と比較すると、大きなブレーキがかかったという印象です。

 市場予想の1.2%増に届かず、トランプ新大統領が掲げる景気刺激策がとん挫していく中で、個人消費の伸びが押さえられたという感じでしょうか。とは言え、労働市場は完全雇用に近く、賃金上昇の勢いも強い。消費者信頼感指数も高い水準を示しています。そういう意味では、1-3月期のGDPが下がったことに対して、市場はさほど気にしていないようです。

 5月2日-3日のスケジュールで開催されるFOMC、そして5日発表の雇用統計の数字を見ないと断定はできませんが、6月の金利引上げは可能性が高まってきたと考えていいかもしれません。6月のFOMCで、FRBが金利を引き上げる確率は、金利先物ベースで71%まで上昇しています。

 そう考えると、5月のドル円相場の予想レンジは、「1ドル=108円-113円」と見て良いのではないでしょうか。日本銀行が3か月ごとに発表している「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、9年ぶりに「(景気)拡大」の文字が使われましたが、その一方で物価見通しを下方修正しました。物価上昇率2%(コアCPI)の達成時期は「18年度ごろ」と据え置いたものの、先行きはいまだに不透明です。米国経済次第というところもあるかもしれません。

――欧州では仏大統領選の決選投票が行われますが……?

 5月7日に実施される決選投票では、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相と極右の国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(現在は一時的に離脱)の一騎打ちになるわけですが、どちらが勝利するかでEUの運命が決まるかもしれません。EU離脱や移民排斥を訴えるルペン候補が勝利するようなことになれば、事実上EU解体に繋がる可能性もあります。