投資するなら「現物不動産」よりも「REIT」がオススメな理由

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■プロの力を借りて10万円から投資可

マイナス金利政策によってローンの金利も低下。安い金利で資金が借りられるため、不動産(現物)投資に関心を持つ人も多い。家賃収入といえば甘美な響きもあるが、実は甘くない。

全国の空き家は年々増加を続け、東京都内でもアパートの空室率は30%を超える。

2015年の税制改正によって相続税が重くなり、節税を目的にアパート経営に乗り出す人もいるが、人口が減少する中で賃貸住宅の供給が増えれば空室率が上がるのは自明の理。空室を避けるには家賃を下げねばならず、利益が出るどころかローンを返し切れないという事態も考えられる。だからといって空室が続くような物件では好条件で売るのも難しい。

たしかにローン金利や建物の減価償却分などを所得から差し引くことができ、一定の節税効果はあるものの、言い方を変えれば経費が控除されるだけだ。

資金に余裕があって超一等地に買うとか、不動産業者になったつもりで市場調査や空室対策、管理などに力を入れられるなら別だが、片手間での不動産投資は成功しづらい。ましてや給料やボーナスなど収入面で変動がありうる時代に多額のローンを組むのはリスクが高い。

ならば、プロの力で空室リスクを抑え、しかも少額で不動産に投資する方法はないか――。それを実現するのがREIT(不動産投資信託)である。

REITは、銀行からの融資や投資家の資金で不動産を取得し、賃料収入をおもな収益源とする投資商品である。通常、年に2回、配当が支払われ、それが投資家の利益となる。株式市場に上場しており、証券会社を通じて株と同様に売買が可能だ。

預金金利の低下によって、少しでも利回りを求めたいという思惑から人気が高まり、REITの価格(株価)も上昇したが、それでも、平均の利回りは3.3%程度(2016年6月10日現在)。株式の配当利回りと比較しても魅力がある。

オフィスビルに特化した銘柄、商業ビルに特化した銘柄、複合型などさまざまなタイプがあり、10万円程度から投資できる。

銘柄にもよるが、資金の4〜6割を銀行からの借り入れで調達。マイナス金利政策導入で利子負担が軽減され、収益には追い風となる。全銘柄の含み益は合計で約1.5兆円(15年度下期)、保有する物件を売却して利益にすれば、増配も期待できる。REITは利益の90%超を配当金に回すことで法人税が免除されるため、内部留保されることもない。

REITは株式や債券とは値動きのスピードや大きさが異なると考えられ、それらと併せ持つことで資産全体の値動きを抑える効果も期待できる。基本的には金融資産の2割程度まで、金利低下で追い風が吹いている今なら3割程度までREITの比率を高めてもいいだろう。

その際、特性の異なる複数のタイプを組み合わせると分散効果が高まる。

まずは「現在の投資環境において高収益を期待できる銘柄」。海外からの旅行者が多いこの時期、ホテルに特化した銘柄などに投資妙味がある。

これに高齢者施設・医療施設系など、「投資環境に左右されにくい銘柄」を合わせれば攻めと守りの分散ができる。

六本木ヒルズを保有する「森ヒルズリート投資法人」(東証3234)など、有名な物件を組み込む銘柄を選び、大家さん気分を満喫するのもいい。

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深野康彦
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、一級ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FP会社などを経て、2006年ファイナンシャルリサーチ設立。近著に『ジュニアNISA入門』など。
 

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(高橋晴美=構成)