【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|連戦に撒いた「餌」が最後の45分にもたらした効果
相手の最終ラインが「どうせ蹴ってくる」と重心を後ろに傾ければ、シャドーが空く。シャドーにパスをつけて、そこに相手が食い付けば、次は違う場所が手薄になる。その結果が2点目のクロスからのゴールであり、3点目の菅井の得点だ。
1日経ってから映像を見返すと、「もっと崩せたな」という気持ちが湧き上がってくる。やはり、局面での判断などのクオリティが不足している。その精度向上が、さらなるチャンス創出につながるだろう。
守備には、まだまだ隙があった。簡単に背後を取られるシーンがいくつかあり、それをゼロにするように練習を繰り返さなければならない。シンプルに最終ラインの裏に抜けられてしまうと、前からのプレッシャーが無駄になってしまい、また思い切り良く前線からチェイシングに行きにくくなる。
翻って、今までと比べて格段に良くなっていたのは、クロスへの対応だ。きちんとマークに付けていて、良い状態でシュートを打たせていなかった。先にボールに触ってクリアもできていた。
今回の2連勝、特に2戦目の3-0はルヴァンカップでの勝利によって精神面で優位に立てたという点も要因のひとつ。リーグ戦8節・広島戦は最後の最後で追いつかれる(3-3)など、決して良い流れではなかった。
そのなかでの26日の逆転勝ち。相手に退場者が出たとはいえ、あれは自信になったし、大きなアドバンテージになるとも思っていた。
だが、向こうは「同じ相手に2度も負けられない」という強い気持ちでくると想定していた。だから試合直前に選手には、そういう話をした。「相手が『2度も負けられない』とくるのなら、同じ相手に2度勝ってやれ」と。
結局、この2勝で4月の公式戦は3勝1分3敗のタイに持ち込むことができた。「リーグ戦で5試合ぶりの勝利」と言われたりするが、常にカップ戦を含めた公式戦すべてでのバイオリズム(流れ)を考えている。だからこそ大きな連勝だったんだ。
加えて、4月になかなか勝てずに苦しんでいる時から「5月に絶対に挽回してやる」と“5月攻勢”を考えていて、その態勢も整いつつある気がしている。サポーターの皆さんには、これからの戦いぶりを楽しみに、ぜひ全力で後押しをしてもらいたい。
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は5月7日に行なわれる10節・FC東京戦の予定。お楽しみに!