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●語学学習ソフトを手中に
最近、グーグルやマイクロソフトがインターネット上で提供する翻訳サービスが目覚ましい進化を遂げている。その背景には、膨大なパターンを学習した人工知能(AI)の存在がある。

近い将来、こうしたAIが翻訳を肩代わりしてくれるようになれば、人間が外国語を学ぶ必要はなくなるのだろうか。4月26日にソースネクストが開催した発表会では、その答えの一端を垣間見ることができた。

○語学学習の「ロゼッタストーン」を国内展開へ

PCを用いた語学学習ソフトウェアで世界的に知られるのが「ロゼッタストーン」だ。ソースネクストはその日本法人を買収し、日本市場での大規模なプロモーション、製品ラインアップの拡大計画を発表した。

製品ラインアップの強化としては、楽天などに代表される英語の「社内公用語化」への対応、TOEICやTOEFL対策、キッズ向けなどのパッケージを新たに展開。さらに価格を30万本限定で4980円へと大幅値下げし、女優の剛力彩芽さんを起用したプロモーションと併せて売り込みをかける。

一方でソースネクストは、AIの進化により自動翻訳の実用性が上がっていることも認めており、今後はさらに高精度になっていくと予測する。それを見越したソースネクストは、2本目の柱として、AIを活用した製品の開発にも着手したという。

●語学学習は不要になるか
○小型の専用ハードウェアも開発中

ソースネクストはAIを活用した自動翻訳について、2種類の製品の開発を進めている。1つは、PC向けのソフトウェア製品。もう1つは、小型の専用ハードウェアを用いた翻訳デバイス「ロゼッタストーンポケット」だという。

自動翻訳のエンジンとしては、クラウド上で動作させる。これはグーグルなどと同様の仕組みだ。しかし海外で利用する場合、通信環境がなく、クラウドに接続できないことも想定される。そこで、ある程度はオフラインでも機能するよう、開発を進めているという。

ライバルは、iPhoneやAndroidのスマホアプリから使える翻訳機能になるだろう。ソースネクストが開発する専用ハードウェアを購入することで、スマホに対してどれくらい使い勝手を高められるかが、ポイントになりそうだ。

注目すべきは、「AI翻訳が普及する時代でも、語学学習の需要はなくならない」とソースネクストが考えている点だ。「AIの翻訳を使ってコミュニケーションするうちに、外国語への興味が湧き、自分でも話したくなるのではないか」と松田憲幸社長は予測する。

似たような予測は、語学以外にもある。たとえばVRの場合、自宅にいながら安全かつ快適に世界中を旅行できるようなコンテンツが増えていくだろう。だが、VRで体験したことをきっかけに本当に現地へ行ってみたい人が増えれば、旅行需要はむしろ高まる、という期待がある。

AIが翻訳してくれる時代だからこそ、外国語を用いたコミュニケーションの需要は高まり、語学学習に励む人はむしろ増加する。ソースネクストが狙うのは両者の相乗効果だ。

(山口健太)