中国人の友人の間では当たり前のように「お金の助け合い」が行われている。資料写真。

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私は今まで友達にお金を借りたことも貸したこともほとんどない。その場で持ち合わせていなくて1000円程度立て替えてもらったことはあるが、その日のうちにすぐに返した。お金の貸し借りをしてしまうと友情が壊れてしまう、そんなふうにさえ感じてしまう。「金の切れ目が縁の切れ目」と言うよりも貸し借りをした時点でその金額以上の信頼を失ってしまうようにも思う。

しかし中国人の夫は違う。友達に十数万のお金を平気で貸し、友達からも借りる。お金を貸す理由は「学費が払えない」「中国の両親が困っているのでお金を送りたい」「引越しをする」とさまざまだが、どんな理由でも夫は余裕があれば「返すのはいつでも良いよ」と言って貸しているし、数千円であればあげている。私は最初これらのやり取りにひどく驚いた。しかし夫だけでなく、夫の中国人の友人の間では当たり前のように「お金の助け合い」が行われている。

夫からこんな話も聞いた。中国人のA君は親の事情で学費がまかなえなくなってしまって、同じく中国人のB君に10万円を貸してもらえないか持ちかけた。しかしB君も親の援助とわずかなアルバイト代で学費を払わなければならず、10万円など到底貸せない。するとB君は中国人のC君から10万円を借金して、それをA君に貸してあげたのである。もちろん「自分に余裕が出来たらC君へは自分が10万円を返す。だから自分に返してくれるのはいつでも良いよ」という言葉を添えて。自分が借金をしてまで友だちにお金を貸す…私は日本人の間でそんなこと見たことも聞いたこともない。しかし夫はこれが当たり前だと言う。中国人は友だちを本当に大切にするので、これくらいのことは何でもないのだと。

この話には後日談がある。借金をしてまで友達にお金を貸してあげたB君。今度は自分が生活に困るほどお金が底を尽きてしまった。アルバイト代が入るまでまだ1週間ある。現金がないので食べることもままならない。そこで私の夫に事情を説明し「ご飯をおごってもらえないか」と頼んできたのである!もちろん答えはOK。夫はB君を某定食チェーン店へ連れて行き、遠慮することなかれと、たらふくご飯を食べさせてあげたのである。

中国人は知らない人には冷たい人が多い。道端で知らない人が倒れていても知らんぷりしてしまうことも起こりうる。しかし知っている人、友人・家族・親戚には非常に親切だ。それはお金が絡もうが絡むまいが、その親切の程度に変わりはない。私は日本人として、そんな日本人と中国人の友人間のお金に関する考え方の違いに驚きっぱなしなのである。

■筆者プロフィール:むらさわりこ
1989年日本生まれ。22歳の時に2歳年上の福建省出身の中国人男性と結婚。英語を独学で習得後、英会話講師として働く傍ら中国のテレビなどを通し中国語も独学で習得。趣味は語学と読書。図書館があまりに好きで毎週通っている。結婚前はベトナム、ニュージーランド、モンゴル、カナダ、ラオス、フランスなど様々な国を一人で渡り歩く。自分のやりたい事や面白い事に国境や言葉の壁は関係ないと考えている。