ドイツ南部ビュルツブルク近郊の村、ガートハイム(2017年4月20日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】住民わずか89人のドイツの小村が今、世界中のメディアの注目を集めている。ただ、その証しは今のところ村内にはためく1本の欧州連合(EU)旗だけだ。

 ガートハイム(Gadheim)は、ワインの産地として知られるバイエルン(Bavaria)州の丘陵地帯にある村だ。風力発電のタービンが並んだブドウ畑を抜けて人通りのほとんどない一本道を行くと、一握りの家々が姿を現す。規模が小さすぎて村長はいない。

 この村は、仏国土地理院(IGN)によれば、2019年に英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)が完了するとEUの地理的な中心地になる。

 近郊の町ファイトシェーヒハイム(Veitshoechheim)のユルゲン・ゲッツ(Juergen Goetz)町長によると、周辺の住民たちはこの事実をラジオのニュースで初めて知ったという。「みんな最初はエイプリル・フールの冗談だと思っていました」と、ガートハイムのホテルで取材に応じたゲッツ町長は笑いながら語った。

「夫はいつも、私たちは世界の中心にいるんだと言っていたんですよ」と話してくれたのは、ドイツ農業組合ガートハイム支部代表のインゲ・ディーク(Inge Diek)さんだ。

 自分たちの村がもうすぐ思わぬ栄誉に輝くことを知ったガートハイムの住民たちは、スマートフォン用のメッセンジャーアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」にグループを立ち上げて、中心地点をどのように標示すればよいか検討を重ねている。一方で、離脱交渉の土壇場になって英国人たちの気が変わったり、英国からの独立の機運がくすぶるスコットランド(Scotland)だけがEUに残ったりすれば、ガートハイムはEUの中心地になれないと気をもんでもいる。

 そんな住民の中で誰より驚いているのは、新たなEUの中心地点が自分の畑にあると判明したカリン・ケスラー(Karin Kessler)さん。今も信じがたい思いでいっぱいだが、英国がEUから離脱した暁には、その地点に旗を立てるのを楽しみにしているという。
【翻訳編集】AFPBB News