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■どんなクルマ?

新型クロスオーバー 1クラス上のカテゴリーに

2016年秋のL.A.オート・ショウでデビューしたミニの2代目クロスオーバー。2010年に登場した初代と比べ、この7年で195mmも全長が伸び、30mm広がって、45mm高くなった。サブコンパクトでデビューして、より戦う相手の多いコンパクトへ階級を上げた。

ライバルとして、メルセデス・ベンツGLA、アウディQ2、フォルクスワーゲン・ティグアン等の名前をミニ自身があげている。いまや全長4315×全幅1820×全高1595mm、ホイールベース2670mmもある。3サイズすべて、VWゴルフよりちょっぴりでかい。少なくとも数字的にミニというには無理がある。スカートだったら噴飯ものだ。膝小僧が隠れるミニがありますか。

ゴルフ陥落 輸入車の年間販売台数は「ミニ」が1位

というような原理主義者の批判をよそにBMWがサイズアップを図っているのは、ようするにミニ・ブランドが全体の見直しに取り組んでいるからだ。じつは一昨年からミニはブランドのマークを変更している。ボディに貼ってあるバッヂは相変わらず、黒い●に羽があって、MINIと白抜きにしてある。これは変わっていないけれど、ディーラーやカタログで使われているシンボルは、白い○に黒文字でMINIと細く入っていて、羽のデザインもよりシンプルになっている。

お気づきでしたか? 昨年の販売台数が世界全体で36万台を超え、日本でもミニ・ブランド全体でゴルフ単体よりも売れるようになっている。量の拡大に伴い、都会で夜、若さを前面に出したヤンチャなイメージから、自然で太陽の光を感じさせる、明るくて、上質さを打ち出したプレミアムなイメージに変えていこうとしているのだ。

そうした狙いにピッタリなのが、この2代目カントリーマンこと、日本名クロスオーバーといえる。1クラス上のプレミアム感を満載した新しいミニを訴求するのにもってこいのモデルなのである。 

日本はディーゼルとハイブリッドの2本立て

本国ではガソリン・モデルもあるものの、日本仕様のパワートレインはディーゼルのみで登場していることにもご注意ください。これは先代のモデル末期、8〜9割がディーゼルだったことも判断の材料になったという。ミニ・クロスオーバーの購入者にとって、膝小僧が隠れていようとディーゼルだろうとかまやしないのである。サー・アレック・イシゴニスがスエズ危機からイギリスを救うべく1956年に開発に着手したミニの精神はいずこにあらんや。

■どんな感じ?

大型化したボディ 大きく見せないマジック

実物はしかし、じつに巧妙にデザインされていて、さほど大きい感がない。箱根の山の中で、単体で見ていることもあるだろうけれど、ポルシェ・カイエンやマセラティ・レヴァンテが大きく見えないのと同様のデザインのマジックが使われているに違いない。ごく簡単に申し上げれば、異例にでかいドア・ミラーやでかいタイヤがボディと調和して、全体が大きいことを悟らせない。

特にリアはCROSSOVERの文字の配列等も含めて、アウトドアな雰囲気もよく出ていて、少なくともクラブマンの宇宙人の目みたいな横長のテールライトを使わなくてヨカッタ。

ボディの大型化の恩恵は室内、および荷室が広くなったことだ。ゴルフ・サイズなのだから当然ながら、おそらくフツウのクルマのように使える。

前述したように、まず日本に入ってくるのはディーゼルである。具体的には、150psのクーパーDのFFと4WD、その高性能版であるクーパーSDの4WDの3モデルからなる。いずれも8速オートマティックと組み合わせられる。6月には1.5ℓ直3ガソリン+電気モーターのハイブリッドが導入される。
 

ディーゼルとは思えぬ回転

今回試乗したのはSDで、2ℓ直4のディーゼル・ターボ・エンジンは最高出力190ps/4000rpm、最大トルク40.8kg-m/1750-2500rpmを発揮する。すでにミニの3ドアに搭載されているのと同じだけれど、このエンジン、ディーゼルとは思えぬスムーズな回転と伸びやかなトルクの供給を身上としている。車重は1630kgに達していて、1290kgの3ドアより340kgも重い。

こんなヤツがミニであるはずがない!

と断言するのは早計だ。あにはからんや、ドライビング感覚はやっぱりミニなのである。直線時はFWD、ステアリングを切ると、その抵抗を感知して電子制御クラッチが自動的に後輪にトルクを供給する。なので、アクセルを全開にしてもトルクステアというものがない。という点ではミニっぽくないけれど、キビキビとよく走る。BMWが主張するゴーカートライクなハンドリングの持ち主なのだ。

試乗車はオプションのダイナミック・ダンパー・コントロールが装着されていて、ドライビング・モードを「スポーツ」にすると硬くなるその硬さ感もミニならではである。といって、クロスオーバーだけにサスペンション・ストロークはたっぷりしている。山道のコーナーだと大きくしなやかにロールする。乗り心地は、硬いけれど、ハーシュネスはほとんどない。255/50R18のピレリP ZEROがランフラットではないことも幸いしているかもしれない。ただし、「ミド」「グリーン」だと、ちょっとフワツク感がある。山道は「スポーツ」に限る。

でもってクーパーSDのディーゼル・エンジンがまるで昔のOHVを彷彿させる。5000rpmぐらいまでしか回らないけれど、それで十分楽しい。トルクは40.8kg-mもある。昔でいえば、ローバーV8を積んでいるようなものだ。車重1630kgを軽やかに走らせるにちょうどいい感じのトルクを生み出してくれる。
 

■「買い」か?

試乗車は、車両価格483万円 + オプション97.2万円

2代目ミニ・クロスオーバーは、プレミアム・コンパクトSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)ということで、価格はクーパーDのFWDの386万円から始まる。BMW JAPANの広報部長氏によれば、車両価格は上がっているものの、ナビゲーション・システムが標準装備になるなど、先代よりもむしろお買い得になっているという。

テスト車のクーパーSDのALL4は483万円で、クーパーDに較べると69万円も高い。パワーにして40ps、トルクにして7.1kg-mの違いがこの価格差ということになる。ちなみにミニの3ドアのクーパーDとSDの差額は70万円なので、クロスオーバーの値付けはそれより1万円お値打ちだ。

にしても、DとSDでそれほどの差があるのだろうか? 今回、クーパーDは乗っていないのでその判断は下せない。ただ、テスト車の装備表を改めて見ると、7万7000円のダイナミック・ダンパー・コントロールやら、5万3000円のミニALL4エクステリア・スタイリング(ピアノブラックの前後バンパー)やら、35万1000円のレザークロス・パンチ/カーボン・ブラックのシートやら、その他オプションが97万2000円も付いている。全部足すと、580万2000円に達する。ある種の個性を手に入れるにはそれなりの出費が必要であることは、いつの時代も変わらない。

これは買いか? う〜む。頭を抱える筆者のようなタイプには、そう、先代クロスオーバーの高年式が魅力的な価格であるではないか。

ミニ・クーパー・SDクロスオーバー ALL4

■価格 4,830,000円 
■全長×全幅×全高 4315×1820×1595mm 
■燃費 20.8km/ℓ 
■乾燥重量 1630kg 
■エンジン 直列4気筒1995ccターボ 
■最高出力 190ps/4000rpm 
■最大トルク 40.8kg-m/1750-2500rpm 
■ギアボックス 8速オートマティック