レギュレーションが一部変更された今季。レクサスが圧倒的強さを見せている

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4月8日、9日に岡山国際サーキットで開催されたスーパーGT開幕戦で衝撃が走った。レクサスのドライバーが表彰台だけでなく、トップ6までを独占したのだ。

この圧勝劇には予兆があった。シーズンオフに行なわれた公式テストでは、ニューマシンのLC500がライバルのニッサンGT−RとホンダNSX−GTを寄せ付けない速さを披露。タイムシートの上位を独占するシーンが何度も見られた。

そのままの勢いで開幕戦を迎えたレクサス勢が下馬評通りの強さを発揮し、勝利を飾ったというわけだ。

スーパーGTは5月3日、4日に富士スピードウェイで第2戦が行なわれる。開幕戦で上位を独占したレクサス勢のマシンには最大で40kgのウエイトハンデが課されるが、それでもニッサンとホンダの両陣営がその勢いを止めるのは難しいだろう。それほどLC500は飛びぬけた速さを備えている。おそらく富士でもレクサス勢によるトップ争いが展開されることになるだろう。

では、レクサスLC500の速さの秘密は一体どこにあるのだろうか? 率直な疑問を、3シーズンぶりにスーパーGTに参戦する中嶋一貴選手(LEXUS TEAM au TOM‘S)にぶつけてみた。

「なかなか難しい質問ですね…」と中嶋選手はしばらく考えたあと、こんなふうに答えてくれた。

「エンジンのパワーがあるとか空力がいいとか、どこかひとつの性能が優れているというわけではないんです。車体、空力、エンジンのそれぞれが高い次元でまとまっていること。当たり前の答えになってしまいますが、それに尽きます。さらに言うならば、タイヤを含めたトータルのパッケージが優れていることだと思います」

マシンの総合的な性能が高く、弱点がないーー速さの理由は、実に簡単なことだった。しかし、それだけのマシンを開発するのは簡単ではない。どうやって生み出すことができたのか?

「2014年〜16年までの過去3シーズンは、マシンに関してはニッサンのGT−Rが圧倒的に速かったのですが、昨年、レクサス陣営は開発の方法を従来からガラッと変えました。その結果、GT−Rを倒して、タイトルを獲得しました。その手法を活かして、レギュレーションが変わった今年、LC500という新型マシンを作り、それが今年の強さの要因となっています」

そう語るのはLEXUS TEAM LEMANS WAKO‘Sの脇坂寿一監督だ。ドライバーとしてスーパーGTで過去に3度のチャンピオンに輝いた脇阪監督はその画期的なマシン作りについて解説してくれた。

「それまでのレクサス陣営は、設計担当者がクルマをデザインして、それを開発部隊のTRD(トヨタ・レーシング ・デベロップメント)に渡し、ある程度、成熟させたあとは各チームにマシンをポンッと渡していました。

でも、新型のLC500は現場で活躍する各チームのメカニックやエンジニアの意見を徹底的に聞き入れて、一から開発したクルマです。具体的には、前年モデルのレクサスRCFがニッサンのGT−RやホンダのNSXに負けているところをエンジニアやドライバーの声を元に徹底的に分析・改善して、逆にライバルに対して有利なところをさらに伸ばすという方針で作り上げてきました。

また、メカニックが作業をしやすいように、カウルを止めるボルト1本の形状にしても現場の声を聞いて反映して作っています。たかがボルト1本ですが、それによってレース中に何かトラブルがあった時に作業を迅速に行なうことができ、いい結果につながっていくかもしれません。そういう細部まで考えられているところが、今年のレクサスの強さだと思います」

メーカーの開発部隊とレクサスの6チームのエンジニア、ドライバー、メカニックたちが一丸となって開発したLC500。ライバルを圧倒する速さの秘密は「徹底した現場主義によるマシン作り」にあるのは間違いないだろう。

スーパーGT第2戦の5月3日、4日、富士スピードウェイでもまたレクサスが圧勝するのか? ニッサン、ホンダが意地を見せるのか? 注目したい。

(取材・文 川原田 剛 写真提供/トヨタ)