リーボックが5万円弱の「汗染みTシャツ」発売、斬新さ狙う姿勢への皮肉?

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先ごろ発売されたメンズの「斬新デニム」を巡る騒ぎに、新たなインスピレーションを得た企業があったようだ──。スポーツ用品ブランドのリーボックは、男性向けに「本物の汗が染み込んだTシャツ」を発売した。

同社は4月26日、公式サイトでコットン製の赤い「Authentic Sweat Shirt(オーセンティック・スウェット・シャツ)」を425ドル(約4万7000円)で発売。同サイトで販売しているその他の平均的なTシャツよりも、390ドルほど高い価格だ。

このTシャツがターゲットとするのは、実際には映画を見ていたとしても、「ジムでトレーニングをしてきた」とアピールしたい男性たち。すでに完売しているもようで、1件のみだが「5つ星」評価のレビューも投稿されている。

リーボックはこの商品を、「ジョークとして発売した」としている。米百貨店ノードストロームのサイトで販売されているジーンズ・ブランドPRPSの「偽物の」泥がこびり付いた男性向け「バラクーダ・ストレートジーンズ」(425ドル)を受けて、考案したものだ。

「擦り切れた新品」への批判

「泥付き」ジーンズは、ソーシャルメディア上で多くの人たちからの批判にさらされている。リアリティー番組「突撃!大人の職業体験」の司会者マイク・ロウは自身のフェイスブック上で、このジーンズ発売の背景にある「労働に対する考え方」についての深刻な問題点を指摘している。

ファッション界が労働者の作業着などを思わせるスタイルに魅力を感じ、デザインに反映させようとすること自体は目新しいことではない。ただ、ここ1年のほどの間には数多くの高級ブランドが、意図的に使い古されたように見えるように細工を施した新作を相次ぎ発表している。

イタリアのブランド、ゴールデングースは2016年8月、バーニーズニューヨークのオンラインストアなどを通じて「擦り切れた」スニーカーを585ドルで発売。だが、傷や染みなどを付け、粘着テープで補強したようなデザインのこのスニーカーは、「貧困を金儲けに利用している」と非難された。

また、ファッション誌フットウェアニュース電子版は4月22日、フランスのブランド、メゾン・マルジェラが発売した1495ドルのスニーカーを紹介する記事を掲載。「カッターナイフで切り裂かれたようだ」と評した。ノードストロームはこのスニーカーも、オンラインストアで取り扱っている。

「ジョーク」は面白いのか

リーボックのジョークは面白いが、同時に考えさせられるものでもある。実際には行っていないことをしたように見せかけるために、高額を支払う「愛好家」が存在することを示しているからだ。

高い運動強度で行う画期的なトレーニングとして注目を集める「クロスフィット」に熱心に取り組んでいるように見せたいが、実はやりたくないというリッチな男性もいるかもしれない(リーボックのTシャツは役に立つだろう。ただ、体つきが本当のところを暴き出してしまうだろうが)。

だが、意図的に傷を付けたスニーカーや偽物の泥をこびり付けたジーンズを購入する金銭的に余裕がある人たちは、必ずしも自分を運動が好きな人や、例えば農業従事者であるとアピールしたいわけではない。

こうした商品が発売されることはむしろ、激しい運動をする機会が全くない人たちが存在するということを示唆しているのだ。つまり、衣類や靴に傷や汚れが付く過程よりも、重視されるのは「結果」になっているということだ。