採用を間違えないためには、面接官自身が自分の直感を疑うべきであるという

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 こんにちは、微表情研究者の清水建二です。

 採用面接官に「内定を出したい応募者の特徴は何ですか?」と問うと、筆記試験の結果、学歴、社会活動・アルバイト歴、語学力などなど客観的な数字で測れるものもありますが、「波長が合う」「話していて気持ちが良い」「一緒に働きたいと感じる」「内定を出したい学生は第一印象でわかる」といった見解も多々聞かれます。

 つまり、言葉では形容するのは難しいものの、応募者から醸し出される空気感のようなものが内定を出すか出さないかに少なからず影響を与えている、ということのようです。一度でも面接採用官を体験した方なら頷けることではないでしょうか?

 しかし、こうした直感に頼った判断は上手くいくこともあれば大失敗することもあります。そこで本日はこの直観力をより精度の高いものへと向上させるためのヒントをご紹介したいと思います。

◆応募者の微表情にはワケがある

 抑制された感情が無意識のうちに表れては消え去る微細な顔の動き、微表情という現象があります。もし面接採用官の皆さんが応募者の学生さんに何らかの違和感を抱いたら、学生さんの微表情を直感的に感じとっているのかも知れません。

 応募者の顔に微表情が浮かぶということは、何らかの抑制された感情があり、言外に表わされていない「語れること」「語りたくないこと」があるのです。

 例えば、学生時代に苦難を乗り越えたしたエピソードを話している応募者の顔に「嫌悪」の微表情が浮かぶとします。

「嫌悪」という感情は、受け入れたくないヒト・コト・モノが原因で生じます。つまり、その応募者は、例え言葉では「大変でしたが、生来のやる気で乗り越えることが出来ました。」と言っていたとしても、まだその出来事にわだかまりがあり、完全には乗り越えていない、もしくは本当は乗り越えたと思っていない、可能性が考えられます。

 したがって、応募者の「嫌悪」の微表情が読みとれたならば、その出来事についてより詳細に質問したり「〇〇な方法ならばより乗り越えられるかもよ。」と言ったアドバイスや、「その苦難を乗り越えるためには他にどんな方法があり得たかな?」と言った質問をしてみて下さい。

 感情とは、生きるために備わった機能です。語られたエピソードに微表情という感情の抑制が込められているということは、その応募者にとって生きる上でとても重要な出来事だったということです。そこを深堀することで応募者の「人となり」というものがより明確にわかるようになるのです。

◆面接官自身が、自分の表情・感情にも意識的になってみる

 また面接官が自身の表情・感情に意識的になることも大切です。自分の感情に意識的になることで直観力に磨きをかけることが出来ます。

 患者の自殺願望の有無を医師が判定している様子を撮影し、医師の表情を観測した実験があります。

 この実験によると、医師は患者の自殺意図を偶然レベルを上回る確率で判定することが出来なかったのですが、自殺願望のある患者を診断している医師の表情は、自殺願望のない患者を診断しているときに比べ、眉が引き下げられ厳しい表情になっていたことがわかっています。

「眉が下がる」表情の動きの意味は、熟考です。つまり診断中の医師の表情は「この診断もっと熟考せよ」と医師自身に語りかけていた、もとい、医師は無意識下ではそう感じていた、と解釈することが出来ます。

 これを採用面接の場面に置き換えてみましょう。

 自分の表情変化に無意識だと「この応募者の言動をもっと熟考せよ」という自分の無意識下からくるサインを意識の上に持っていくことが出来ず、深堀すべき質問ポイントを見逃してしまうかも知れません。