子役は、成長してしまうと、かつての愛くるしさをお茶の間が感じなくなってしまう。“子役は大成しない”と言われている理由のひとつはそこにあるんです」

そう語るのは、芸能レポーターの川内天子さん。40年近いレポーター人生のなかで、さまざまな子役のはやりすたりを目の当たりにしてきた。

「世界80ヵ国で放送された『おしん』の幼少時代を演じた小林綾子さんは、当時は国賓扱い!まだ芸能人が登壇するイベント会見がなかった時代でしたから、インタビューに成功したレポーターたちは誇らしげでしたよ」

しかし、『おしん』ブームが去り、小林自身も年齢を重ねていく。

「高校、大学と成長しても芝居のうまさはピカイチでした。ただ、もう『おしん』を演じていた“子役”の小林綾子ではなかった。彼女に対してお茶の間が抱いていたかつての熱は、冷めてしまっていたんです」

しかし、現在も映画や舞台に精力的に出演している小林。芝居への愛情は常に川内さんも感じていたという。

ずっと子役でい続けることはできない――。「それを誰よりも感じていたのは安達祐実さんでしょう」と川内さん。安達祐実といえば、’94年にドラマ『家なき子』(日本テレビ系)で、12歳とは思えない演技力で脚光を浴びた。

「小林さんとは真逆で、いくつになっても童顔だった彼女。『大人になれない自分に葛藤していた』と語っていたのを覚えています。しかし、あどけないなりに役を演じきり、30歳を超えたときにはセクシーな役もこなせるようになりました。彼女はこれからも、女優として活躍し続けるでしょうね」

“大成しない”理由のもうひとつは、収入が増えたことで、“周囲のトラブル”に巻き込まれてしまうからかもしれない、と川内さんはいう。

「’76年、『ケンちゃん』シリーズで人気を集めた宮脇健さんは、運転手付きで学校や現場に行くほどの超売れっ子でした。しかし、父の借金、兄の自殺未遂、両親の離婚に加えて自身も2億円の借金を抱えるなど、代償は大きかったと思います。NHKの連続テレビ小説『鳩子の海』でお茶の間の心をつかんだ斎藤こず恵さんも、周囲とあまりに環境が違うことから、『学校に友達がいないのがさびしい』と吐露していました。そして彼女は中学生のとき、芸能活動をやめてしまうわけです」

斎藤こず恵と同期であり、“天才子役”といわれた坂上忍も、父が経営していた出版社の倒産により、実家の借金は1億円に。自分の仕事の現場まで借金取りが押しかけたという。しかし現在、昼の情報番組『バイキング』でMCを務め、バラエティ番組で“再ブレーク”を果たしている。

「“素”を見せたことが、再ブレークのきっかけになったんでしょう。子役のころとは違った“毒舌キャラ”が受けていますよね。同様に、小林さんもテレビ番組で披露した『猫語を話せる』という変わったキャラも話題に。バラエティ番組で『あ、面白いかも』と思われることはこの時代には大事。『俳優さんはトークが苦手』と思われている場合が多いですから」