医療大麻推進の運動の一線から身を引くと話した

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大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕、起訴された元女優の高樹沙耶(本名・益戸育江)被告(53)が、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けた。

判決後、高樹被告は報道陣に、自分で大麻を使用した理由について「更年期障害、親知らずの抜歯の後の痛み」のためだったとした。

カリフォルニアでは入手に医師の診断書が必要

裁判で高樹被告は、大麻を所持していたのは沖縄県石垣市で同居していた男性だったと容疑を否認。使用については、男性から許可を得ていたという。否定していた所持を裁判では認定されたことについて、「それは認識の違い。私のものではないというのは、私の認識の中では事実」と主張したが、判決に不服はなく、控訴もしないと話した。医療大麻推進の運動も、「私は第一線から退かせていただきます」と述べた。

日本の現行法では、いかなる理由でも大麻の所持は認められていない。一方海外では、医療目的で認めている国・地域がある。ではどのようにして大麻を入手するのだろうか。

米国を例にとろう。前提として米連邦政府は、医療目的でも大麻の使用を承認していない。米食品医薬品局(FDA)のウェブサイトには「FDAは大麻草の成分を含む、あるいは大麻草から生成された製品について、病気の治療に対する安全性や有効性を確認していない」と書かれている。

一方で州によっては、医療目的を合法化しているところがある。「大麻の医療使用合法化」を目指して難病患者を中心に1999年に発足したNPO法人「医療大麻を考える会」は2016年10月、米カリフォルニア州・サンフランシスコで現地取材した様子をウェブサイトで紹介している。同州は全米で最初に「医療大麻」を認めており、「ディスペンサリー」と呼ばれる大麻を専門的に販売する薬局で入手可能だ。

ただし、米国人医師の診断書が必要となる。同会の16年10月31日付の記事では、診断書の写真が掲載されていた。それを持参しても、ディスペンサリーによっては州外の住民には販売しないところもあるという。

コロラド州のディスペンサリーの様子は、「WEDGE Infinity」に掲載された土方細秩子氏の2017年4月22日付記事に詳しい。「医療用大麻は医師からの許可証が必要だが18歳以上が利用でき」るという。

ほとんどの病気で、「有効」との証拠不足

医療大麻の使用は米国のほかカナダやオランダをはじめ欧米に広がっている。2017年1月には、ドイツで連邦議会が合法化の法案を成立させたと報じられた。国や地域によって医療大麻のスタンスはさまざまだが、少なくとも日本では、たとえ大麻合法とされた場所で入手したものでも、所持により違法になる。

「推進派」は大麻の医学的な効果を主張するが、厚生労働省では全面否定する。この点、医療ジャーナリストの市川衛氏が「Yahoo!個人」2017年1月29日付投稿で論じている。市川氏は、世界保健機関(WHO)が2016年に公開したシステマティックレビューの資料を読んだ。これは「過去40年に渡って世界中で発表された大麻に関する研究を集め、中でも質の高いものを選び出し...それらを複数の研究者が、決められた方法で評価」したものだという。

その結果、大麻が有効とする信頼性の高い証拠が得られたものは、国指定の難病「多発性硬化症」における、けいれんや痛みをやわらげる効果だ。また効果を示した研究はあるものの、有効だと結論づけるまでには至らないものは、「神経の異常を原因とする慢性的な痛み」をやわらげる効果だった。それ以外の病気については、現段階では「有効だとするには証拠が足りないとされているようです」と結論づけた。今後の研究で変わる可能性はあるが、今のところ国際機関が公的に認めた有効性はごく限定的なようだ。

高樹被告が語った大麻の使用理由は、更年期障害と、親知らずの抜歯の後の痛みをやわらげるためだった。治療のために医療機関を受診するという考えには至らなかったのだろうか。