寝る前はスマホを見るのをやめましょう、と言われます。ブルーライトがよくない、と言われます。わかってます、でも、つい、LINEを見てしまう。メールを見てしまう。「ねこあつめ」をしてしまう……スマホを手放せない症候群のあなた、メガネという手があります。

ブルーライトは夜を朝に変えてしまう 

私は就寝1時間前からスマホ、タブレット、パソコンなどの電子デバイスをシャットダウンしています。仕事のメールのやりとりは2時間前までと決めています。ブルーライトで脳を覚醒させないことと、リラックスする時間をもつことで睡眠の質が保たれるからです。

ところでこのブルーライト、どんな光かご存知ですか? 

人の目が認識できる太陽光は7色あります(虹の色と同じ、紫から赤です)が、これを可視光線といいます。可視光線の中でもっとも波長が短い色が、青から紫色にかけての色。これがブルーライトです。これより波長が短い色は「紫外線」です。ご存知の通り、お肌の大敵ですね。つまりブルーライトや紫外線のように波長が短い光は強烈で、浴びすぎると目にも肌にも、つまり体にはよくありません。

光は人間の体内時計に大きな影響力を持っています。人の脳は朝の光を浴びることで「朝だ」と認識して起き、日が沈んで暗くなることで「夜だ」と認識し、眠たくなります。ブルーライトは太陽光の色に近いため、私たちの脳に「朝だ」と認識させる力が強力です。そんなブルーライトを夜、目にたくさん入れてしまうと、人の脳は「朝だ」と勘違いしてしまい、人間が昔から持っている体内時計のリズムが狂ってしまうのです。

夜になって、眠くなる理由のひとつはメラトニンというホルモンが分泌されるからです。ですからメラトニンは別名、睡眠ホルモンと呼ばれます。しかし体内時計が狂って、夜を「朝だ」と勘違いしてしまうと、メラトニンの分泌が抑制されてしまいます。すると当然、質の高い睡眠は遠ざかり、布団に入ってもなかなか寝つけないなんていうことも。ブルーライトが快眠の敵とされるのは、こういうわけです。

 夜9時からブルーライトカットグラスをかける習慣

現代の生活にはブルーライトがあふれています。中でも、スマホから発せられるブルーライトは、ほかのどの電子デバイスより強力です。

しかもスマホは画面が小さく、目との距離が近い。テレビは約2m離れて見ることが多いと思いますが、スマホは顔との距離が30cmほど。とても近いところで見ます。さらにスマホで操作は、メールを打ったり、ゲームをしたりと脳を使うことが多く、スマホは脳をすっかり目覚めてさせてしまうのです。

ぐっすり眠るためには寝る前に電子デバイスを見ないこと……ということは、Suits読者のみなさんもご存知のことでしょう。でも、どうしても寝る前までスマホが手放せないという方に、次善の策として、ブルーライトカットメガネをかけることをおすすめします。

ブルーライトカットメガネでなくても、サングラスでもかまいません。またメガネの着用以外でも、パソコンやスマホの画面照度を最大限まで落としたりする方法が良いでしょう。とはいえ、やはり夜をデジタルデトックスの時間にすると自分自身と約束することが最も効果的。「なんとなくネットサーフィンしている」という人も少なくないので、意識的に手放すよう心がけましょう。

それでもスマホを寝るまで手放せない方、そしてなかなか寝つけない方、まずはブルーライトカットメガネを試してみてはいかがですか。色の薄めのものを選べば、仕事場でのパソコン仕事のときにも使えますよ。

ちょっとグラスが黄みがかっているのが特徴ですが、これなら仕事中でも使えますね。



■賢人のまとめ
スマホ画面から発せられるブルーライトは、夜の脳に「今は朝だ」と勘違いさせるほど強烈です。就寝1時間前からスマホを見ないように。どうしても手放せない方はブルーライトカットメガネの使用をおすすめします。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。