初来日したエラ・バレンタイン。日本ではお寿司のおいしさに感激したそう

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 高畑勲が監督を手掛けた1979年のアニメシリーズをはじめ日本でも長らく親しまれてきた小説「赤毛のアン」が、原作者L・M・モンゴメリーの孫であるケイト・マクドナルド・バトラーの製作総指揮により再映画化。世界中に知られるヒロイン、アン役を射止めたカナダの新進女優エラ・バレンタインが、オーディション秘話や15歳の「今」を明かした。

 映画では、世界でも有数の美しい島として知られるプリンス・エドワード島を舞台に、児童施設で過酷な生活を送っていた少女アンが手違いからマシュウ・クスバート(マーティン・シーン)&マリラ・クスバート(サラ・ボッツフォード)兄弟のもとにやってきて、固い絆で結ばれていくさまが描かれる。アンが「輝く湖水」「歓喜の白路」などと名付ける美しい風景の数々に目を奪われるはずだ。

 アン役のオーディションを、「すごくワクワクしていたんだけど最初はいろいろと考えすぎてしまって、まさかこの役を得られるとは思っていなかった」と振り返るエラ。最終選考はジョン・ケント・ハリソン監督とのスカイプで行われたそうで、与えられたシーンは映画の冒頭、マシュウとアンが馬車で駅からグリーン・ゲイブルスに向かうシーン。そこで「アンは想像力が豊かだから話の途中でもいろんなことに気をとられることを意識してほしい」といった監督からのフィードバックを修正するなどの過程を経て、合格に至った。クスバート家に到着する前にこの地に魅了され、想像力を膨らませるアンらしいエピソードだ。

 アンがお茶会で親友のダイアナ(ジュリア・ラロンド)にイチゴ水と間違えてワインを飲ませて大騒ぎになったり、「ニンジン頭」と赤毛をからかったギルバート(ドゥルー・ヘイタオグルー)の頭を石板でたたくなど、製作総指揮を手掛けたバトラーの強い思いから基本的には原作に忠実なストーリー展開となっているが、アンが冬の凍った湖に落ちるオリジナルのシーンも。マシュウとの絆の強さがうかがえる名シーンなのだが、撮影はかなり大がかりだったという。「まず階段を作って上り、ガラスを敷いて、アンがその上を歩くシーンを撮ったの。その後にプラスチックのゴムのようなものを氷に見立てて大きなタンクに浮かべ、そこから必死に出ようとする演技をしたというわけ」。

 そうしてプレッシャーに負けず世界中に知られるヒロインを演じ切ったエラに撮影後の変化を問うと「これまでのわたしは常に次のものへ、次のものへといってしまうタイプだったんだけど、この映画に出てからはアンのように今を楽しむというか、例えば鳥が飛んでいたら目を留めて見たり、木々、青い空を見たりとかそういうふうに落ち着いてゆっくり何かを見ることの大切さを教えられた気がする」と“アン効果”を明かす。

 2011年に女優デビューして以来、2013年の舞台「レ・ミゼラブル」(トロント公演)のコゼット役、名匠アトム・エゴヤン監督の『白い沈黙』(2014)、ローレンス・フィッシュバーン出演の『スタンドオフ』(2016)などの映画に出演し、着実にキャリアを積んできたエラ。目標は、「メリル・ストリープのようにいろんな役をこなせる女優」になること。初来日となる日本の印象を尋ねると、「行く街によって全然風景が違うし、トロントに比べてタクシーがきれいだったりとにかく清潔。新宿御苑でお花見したんだけど、まさに『赤毛のアン』に出てくる“歓喜の白路”のようで本当にきれいだったわ!」と目を輝かせた。(取材・文:編集部 石井百合子)

映画『赤毛のアン』は5月6日より新宿バルト9ほか全国順次公開