ゴール前での嗅覚を発揮した堂安が、正確なシュートでネットを揺らした。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1第9節]横浜0-1G大阪/4月30日/日産スタジアム
 
 連動性に富む崩しで、横浜のゴールをこじ開けてみせた。
 
 左サイドのタッチライン際、左SBの藤春が中にいる藤本とのワンツーで抜け出す。横浜のDFが対応に来るも、倒れ込みながらグラウンダーのクロスを供給。これに反応した長沢が右足のヒールで後方に流すと、逆サイドから侵入していた堂安が冷静に流し込んだ。
 
 見事なパスワークで生まれたこの決勝点を、当事者たちの声で振り返る。
 
 まずは、藤春を走らせた藤本の証言。
 
「オフサイドにならないように、(藤春の)スピードを殺さないように、(ボールが)ゴールラインを割らないように」、丁寧なパスを心掛けたという。
 
 リターンのタイミングにも細心の注意を払った。「ポン、ポンって出したら、たぶん、俺についていたマーカーも、そのままの勢いで(藤春に)行っちゃう」。そうさせないためにも、「相手の足を止めるように」ワンテンポ遅らせた。1秒にも満たない時間だったが、相手を自分にひきつける絶妙な“間”だった。
 
 次は、堂安にアシストした長沢の証言。
 
「シュートに行こうと思ったけど、来たボールも弱かったので。無理に打つよりは、誰かいてくれ、って。後ろに流せば、誰かいてくれるかな、という感じでした」
 
 藤春がクロスを入れる瞬間、ニアに動き出す。自分で打つイメージだったが、ボールの質を見て、パスに切り替えた。
 
 ちなみに、本人の言葉にもあるように、堂安の存在は「見えていなかった」という。
 
 3人目は、悔しい失点を喫した横浜の守護神・飯倉の証言。
 
「まあ、止まっていれば、どうにかなっていたかと言われても、おそらく(堂安は)どフリーだし。(防げる)可能性はあったかもしれないけど」
 
 ニアに入ってくる長沢に対し、飯倉は飛び出して相手にプレッシャーをかけようとした。結果的にゴールをガラ空きにしてしまったが、長沢は最初、“シュートを打つつもりだった”だけに、飯倉の判断が間違っていたわけではない。
 
「逆にあそこで(長沢に)前を向かれても、危険な状況は同じだから。また、俺が出ないで、前を向かれて、そこで横に出されて、決められるケースもある」
 
 ゴール前の攻防では、“一か八か”の賭けも重要な要素だが、いずれにせよ、「良い感じで落とされた。あのヒールパスは上手かったね」と、長沢の技術を認めていた。

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 最後の証言者は、ゴールを決めた堂安。
 
「ヒールで来るなと、なんか思いましたね」
 
 なぜ、そう思ったのか――。
 
「ハルくん(藤春)が持った時点で、(長沢)駿くんが前で潰れて、こぼれてくるイメージだったんですけど、クロスがゴロだったので。たぶん、駿くんも後ろに流しやすかっただろうし、ゴロを見た瞬間、ちょっと中にというか、ポジションを取り直した……ような気がします。まだ映像を見ていないので、分からないですけど」
 
 実際は、その記憶通り、クロスが入ると、それまでファーでスタンバイしていた堂安は、進路を変えて、中に絞ってきていた。
 
 それぞれがプレービジョンを描きながら、瞬時の判断で動きを微調整する。その歯車がピタリと合った、ファインゴールだった。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)