ゼロから4億円の広告効果「おにぎりアクション」日本マーケティング大賞受賞(GettyImages)

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 85万食の給食を開発途上国の子どもたちに届けた「おにぎりアクション2016」がこのたび「第9回日本マーケティング大賞」の奨励賞を受賞した。企画そのものの広告費はゼロだったのに対して、協賛企業には約4億円もの宣伝効果があったという。

 受賞企画は、おにぎりの写真をSNSまたは特設サイトで投稿すると、協賛企業が100円寄付するというもの。SNSで気軽に参加でき、周囲からの共感を得られるというユーザー参加型の寄付活動は、話題を呼んだ。

 スタートから51日間で約11万件の写真投稿が集まり、参加人数は計36万人に達した。主催者によると、企画の広告費用はゼロであったのに対して、協賛企業には約4億円にのぼる広告効果が得られたという。

 世界の食料問題の解決に取り組む日本のNPO法人「TABLE FOR TWO International(東京都港区、以下TFT」による。「日本マーケティング大賞」が創設されて以来、NPO法人で受賞したのは、TFTが初めて。

 TFTは受賞について「食のありがたさや世界の食糧問題へ意識を向けることに成功した」とコメントしている。

 『日本マーケティング大賞』は、企業など組織の新しいマーケティングやコミュニケーションの手法などを通じて、消費者生活の向上と経済・社会の活性化させた企画を奨励し、表彰している。9回目となる本年は189件がエントリーした。

 奨励賞について、5つの評価ポイント「独自性、先行性、社会課題解決性、新しいマーケティングの芽、特筆する評価項目(自由回答)」の中で、TFTの「おにぎりアクション2016」は、「社会課題解決性」と「独自性」について高い評価を得た。また、「投資効果」「NPOによるマーケティング」「グローバルな視点と貢献」「拡散力」などが特筆する評価点として挙がった。

選考員コメントの一例「おにぎりで世界の食糧問題にアプローチ」

 
参加者の気持ちをつかむ仕掛けをマーケティング設計に組み込むとともに、体系的なメディア・PR戦略を実施。協賛企業の売上やブランドイメージ向上にも寄与した。ネットを活用し、個人と企業が協力して社会課題解決をめざすソーシャルマーケティングの好事例。 究極のマーケティングともいえるマーケティング投資費用0円で最大の効果を生み出した。 おにぎりアクションという誰もが親しみを感じるテーマ設定とSNSの活用により、多くの企業や消費者の関心を集めた点を評価したい。 参加者の気持ちを掴むカスタマーインサイトに基づくマーケティング設計によるユーザー参加型の社会貢献で、参加企業にも成果をもたらした点。 国内のみならず世界的に活躍を標榜するプログラムの国内プロモーション。志と現場感覚の両立を評価。 これまでの寄付は「一方通行」だが「双方向(ユーザー参加型)」にすることで寄付の概念を覆した。「手軽なおにぎり(日本の食)」ということも、実感を伴ったつながり感を増幅させている。「マーケティングによりブレイクスルーした活動」に該当する。 日本の食を象徴するおにぎりを用いて世界の食糧問題にアプローチした点。

おにぎりアクション2016とは

「日本の食を通じて、世界の子どもたちに食を届ける」というコンセプトの元、国連が定めた10月16日「世界食料デー」に合わせて、2016年10月11日から11月31日までTFTが実施したグローバルキャンペーン。

 おにぎりを作り、または購入し、おにぎりを食べたり手にしたりしている様子を収めた写真を、ハッシュタグ「onigiriaction」を付けてSNS(Facebook, Instagram, Twitter)、またはTFTの特設サイトに投稿すると、参加者に代わり協賛企業が1枚につき100円を寄付できる。TFTは企業協賛・商品寄付(日米21社)と個人からの寄付で、85万食の給食をアフリカ・アジアに届けた。

 TFTは2017年も、10月16日「世界食料デー」を記念し、10月から11月にかけておにぎりアクションを実施予定だという。

(編集・甲斐 天海)