下値は7円程度が目安。足もとでは200日線がサポートとなっており、地政学リスクがよほど悪化しないかぎり「最安値の更新はない」というのが山岡氏の見立てだ

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日本人に人気の二大高金利通貨であるトルコリラと南アフリカランドの下落が止まらない。いったいどこまで下がるのか。底値とともに、今後の戦略を探ってみた。

◆値ごろ感で勝負するのはあり? なし?

「昨年から南アフリカランドは順調に上昇していたのに3月末に暴落。子どもの学資保険代わりに南アランド投資していたのに強制ロスカットが間近です。このままだと我が子に大学進学を諦めてもらうしかない」と嘆くのは編集部員のIだ。南アは政策金利7%。FX黎明期から高金利通貨として人気が高く、Iのようにスワップ益を狙う個人投資家は多いはずだ。南アにいったい何が起きたのか。

「3月末から10%以上も暴落した原因はズマ大統領。財政改革を進め、市場から信任の厚かったゴーダン財務相を突如、更迭しました。南アランドの売りを誘っただけでなく、S&Pが『ジャンク級』へ格下げしたのです」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)

 S&Pに続いてムーディーズも格下げを検討中。2社がジャンク級となれば、まともな運用機関は南アからの投資を引き揚げる。政局不安は以前から懸念されていたが、今回はどこまで下がるのか。

「南アランド/円は目先、200日移動平均線に支えられていますが、ここを割ると7円が見えてきます。ただ、今のところ昨年6月につけた史上最安値6.4を割る動きはありません。あるとすれば、北朝鮮やシリア、アフガニスタンの混乱が拡大し、本格的な戦争状態に突入して逃避通貨として円が買われたときですね」(ストラテジストの山岡和雅氏)

◆大統領が退陣すれば上昇反転の可能性も

 一方で、地政学リスクの影響が甚大な通貨がある。南アランドとともに、人気の高金利通貨である政策金利8%のトルコリラだ。

「アメリカがミサイルを撃ち込んだシリアのイドリブ県はトルコとの国境。シリア紛争が悪化すれば、トルコリラ売りが進みます。国内政治を見ても独裁色を強めるエルドアン大統領を市場は嫌悪。彼が退陣しないかぎり、トルコリラの上昇は難しいです」(神田氏)

 トルコリラは2年前の50円台から30円割れまで下落。最安値の更新が日常となっている。

「トルコリラはもうテクニカルが有効な世界ではありません。あえて底値を言うなら、目安は25円付近。ここまで下がれば、金利差を手がかりに買う投資家も出てくるかもしれない」(山岡氏)

 この高金利2通貨については、そもそも投資先として疑問視する声もある。CKキャピタルの西原宏一氏は「年内は投資を見送るべき」と話す。

「新興国通貨には戦争やテロなどの有事が起きたとき、決済したいのに決済できないリスクがある。いくらで損切りできるのか計算できないようだと投資として成り立ちません。トランプ政権の誕生で有事リスクは確実に高まっているのは確かです」

 ここまで全く好材料のない両通貨だが、本当に撤退すべきなのか。今回“買い派”に回ってくれた前出の神田氏は、南アとトルコの買材料を教えてくれた。

「南アランドは政治リスクから過剰に売られています。情報が少ないぶん混乱していますが、実体経済はそれほど悪くない。外貨準備高を積み上げており、米国利上げの影響もなくなりました。実は南アランドは世界の株価指数との相関性があるので、このまま世界経済が上向けば長期的な下落幅の50%戻し、つまり10円台程度への回復が見込めるかもしれません。市場に不人気のズマ大統領退陣となれば、一時下落しますが、長期的には上昇するでしょう。一方、トルコリラも同じく“エルドアン退陣”が実現すれば持ち直す可能性も。この国は人口ボーナスもありますし、潜在的な経済力は高い。過去10年の下落幅の50%戻しで65円。38.2%戻しでも56円です。下落幅が大きいぶん、伸びしろは十分にあります」