米国のトランプ政権が誕生してから100日が経過した。就任以来、トランプ大統領の支持率が低下しており、「就任後100日目の支持率」としては史上最低であることが日米両国のメディアによって伝えられた。

 だが同時に、トランプ氏に投票した米国民の間での支持率は96%と非常に高いことも判明した。トランプ氏に投票した有権者で「後悔した」という人はわずか2%しかいないという世論調査結果も出ている。この現実は日本の大手メディアではほとんど報じられていない。

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再びトランプ対クリントンで戦ったら?

 4月下旬にABCニュースとワシントン・ポストが合同で実施した米国の世論調査によると、トランプ大統領の支持率は42%だった。この数字は1945年以来の米国歴代大統領の就任後100日目の支持率として最低だという。

 だが同じ世論調査で、昨年11月の大統領選挙でトランプ氏に投票した国民の96%が「再び選挙があればまたトランプ氏に投票する」と回答した、という結果も出ている。トランプ氏に投票したことを「後悔した」と答えたのはトランプ支持層全体のわずか2%だったという。

 つまり、トランプ氏の支持層の間では、トランプ氏への信頼と支持がまったくと言っていいほど揺らいでいないのだ。

 同調査によると、民主党のヒラリー・クリントン候補に投票した人たちの間では「もし選挙が再度あれば、また投票する」と答えたのは85%だった。15%ほどが今度は投票しない、というわけだ。その結果、もしトランプ対クリントンという組み合わせで再び大統領選を実施した場合、トランプ氏が全体の総得票数でもクリントン氏に差をつけて圧勝することになるという。実際の選挙では、クリントン氏の総得票数がトランプ氏を280万票ほど上回っていた。

支持者は「腰を据えて見守るつもり」

 トランプ支持層の堅固な支持が続いていることは、他の世論調査でも裏づけられた。

 バージニア大学政治センターが4月中旬に全米規模で実施した世論調査によると、昨年の選挙でトランプ氏に投票した有権者の間では、その93%がトランプ大統領への支持を表明した。

 それらの支持者の間では「トランプ政権の100日間で米国経済が良くなったと思うか」という質問に対して61%がイエスと答えた。また、31%が「米国経済はオバマ政権時代とほぼ同じ」と答えたという。つまり、トランプ氏に投票した有権者たちはそのほとんどが、米国経済がトランプ政権下で以前よりは悪くなってはいない、と考えているのだ。

 バ―ジニア大学政治センターは、同調査に寄せられたトランプ支持者たちの意見も紹介している。例えば、2012年の選挙ではオバマ氏に投票し、2016年にはトランプ氏に投票したというある中年男性は、「トランプ氏は大統領になってほんの2〜3カ月で、まだ職務に慣れつつあるところだから、私はまだ彼がどこまでやれるか、腰を据えて見守るつもりだ」と言う。こうしたトランプ支持者の発言は、日本の主要メディアで報じられることはまずない。

偏っている反トランプメディアの報道

 今回の世論調査では、トランプ大統領を支持しない層が、必ずしも反対勢力の民主党の支持に回っているわけではないという実態も判明した。

 前述のABCニュースとワシントン・ポストの合同調査では、全米の一般国民の67%が「私たちの懸念を民主党は理解していない」と答えた。「私たちの懸念を共和党は理解していない」という答えは58%だったという。この世論調査に限って言えば、トランプ政権を支える共和党の方が、わずかながら米国民一般の信を得ている、と言えそうだ。

 日本にとって、米国の現政権に対する米国民の評価の状況を正しく把握することは言うまでもなくきわめて重要である。だが、現在、日本で伝えられるトランプ大統領の評価は、そのほとんどが米国の反トランプメディアの報道と、その報道に依拠する日本メディアの報道によるものである。本当は今回の米国での世論調査の結果のように、トランプ大統領への米国民の支持、不支持には多様な側面があるということを認識しておく必要があるだろう。

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筆者:古森 義久