三上博史が“トランプみたいな男”を熱演。ストイックすぎる役への向き合い方

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 常に革新的なドラマを世に放つWOWOWの社会派ドラマ「連続ドラマW 社長室の冬−巨大新聞社を獲る男−」が放送開始。

 日本を代表する伝統ある巨大新聞社が、外資へ身売りを画策するという衝撃的なストーリーが展開する本作で、三上博史さんは物語の主人公である外資系企業の日本法人社長・青井を演じています。

 ドナルド・トランプを彷彿とさせる暴君に扮している三上さんに役づくりについて伺いました。お話の中には名作『スワロウテイル』にまつわる秘話も。

◆今の世相を反映した作品

――脚本を読ませていただきました。三上さんの演じられる青井が楽しみです。

三上:僕はいつも原作があれば原作から入っていきます。本作の原作は、堂場瞬一さんの小説ですけど、物語の主人公が、身売りする側から交渉相手の青井に変更されたバージョンなので、今回は脚本から入りました。こういう切り口の作品なんだとすごく新鮮でしたね。

 報道というのは王道のジャンルだし、僕自身も『ストレートニュース』(2000)でプロデューサーをやったりしてきましたが、今の世相を上手く反映させた作品になっています。報道という大きな世界が舞台ではありますが、結局は僕たち自身(視聴者)が身につまされる、突きつけられるものになっていると思います。

――青井は非常にカリスマ性のある人物です。どの辺を意識して演じましたか?

三上:今回は、信念に対する純粋性で行けた気がします。そこを突き詰めて、ちゃんと理論武装する。きちんと青井の立場で考えることをやっていくと、おのずとキャラクターが出来上がるので、カリスマ性がある云々といって、あまり外側から付け加えることはないです。身振り手振りとして表れるものがあるとすれば、それはおのずと出たものです。

◆役は日常から染みついてくる

――ドラマの冒頭にはニューヨークが出てきます。英語のセリフについての感想を教えてください。

三上:母国語とは異なる言語で何かを表現するというのは、やっぱりものすごく難しいことです。僕は20代の頭の頃から、いろんな国に住んだり、コミュニケーションを取ったり、芝居もしてきましたが、日常って幅広くて、新聞を読むところから全部違う言語でやらなきゃいけない。そういう日常から染みついてくる部分って多い。しかも、それぞれの役によって使う言葉も表現も変わってくるから、その度にイチからやらなきゃいけないんです。

 たとえば『スワロウテイル』(1996)のときは、中国語と英語のちゃんぽんだったりしたので、数カ月前から中国語と英語をイチから全部やり直しました。さらに、30人くらいのネイティブの役者さんを見つけて、芝居をしてもらって言葉を完コピして、目の前で動作をつけてやってもらって役を作っていきました。

 今回は『スワロウテイル』と比べると英語のシーン数は少ないですが、半分以上が僕の使ったことのない言葉なので、それを染み込ませるのはものすごく大変です。だからちょっと早めから練習を始めさせてもらいましたね。最近は犬がいることもあって、日本に住んでいることが多いのですが、そうするとやっぱり馴染んでこない。ロケが始まってニューヨークに弾丸で行ってきたあとは、言葉のなじみ方が違います。改めて言語って生き物なんだなと思いました。

◆そのときにかかる仕事はひとつだけ

――たとえば役者さんによっては映画を撮りながら別のドラマ撮影もしたりという方もいます。三上さんのようにセリフを身体に染み込ませていくという方法ですと、同時期に別の仕事は入れられないのでは。

三上:もう40年来、したことがないですね。それはすごく幸せなことなんだけど、そういう風にしてきたのも自分。だからといって違う方法を取っている人を非難するつもりもありません。おっしゃる通り、僕の場合はたとえば言葉、演技のことを考えてもそうですし、それに付随した容姿もそう。髪型とかね。何か仕事が重なっていたりしたら、髪の毛ひとついじれない。コマーシャル契約しているから髪は切れないとか、は?? と。僕にはそういうのは分からないです。

 もしくはこの人の顔にはボブが似合っている、この髪型が一番だというものがあったとしたら、役が変わったからベストルックを壊すのかという問題が出てくる。でもそうしたリスクは冒さないと役者をやっていておもしろくないと思う。自分はね。

 まあでも、それぞれにプライオリティが違うので。僕は僕のやり方が楽しくてやっています。ともかく今の願いとしては、まずはこういう作品をやっていると知ってもらうこと。そのためにこうしてお会いした次第です(笑)。

<TEXT&PHOTO/望月ふみ>
「連続ドラマW 社長室の冬−巨大新聞社を獲る男−」は4月30日よりスタート
毎週日曜よる10:00(全5話)第1話無料放送
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