常連には国内有数のVIPの娘もいるという

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 中国人女性の間では結婚するまで純潔を守るのは当然で、婚姻後も配偶者以外に恋愛感情を持つこと(婚外情=フンワイチン)は完全なタブーとされてきた。だが、それも近年では富裕層の登場とともに、過去のものになりつつある。その実態を探るべく、ジャーナリストの西谷格氏が富裕層女性たちの集う上海ホストクラブに潜入した。同氏はホストとしてその店に所属したのだ。

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 ある晩、30代ぐらいのショートカットの小柄な女性と、40代半ばぐらいのパーマをかけた小太りの女性の席につくことになった。彼女らは店の常連で、すでに先輩ホストが2人の横についていたが、大人数で盛り上がりたいと思ったらしく、私を含め4人ほどがテーブルに加わった。

 ショートカットは、ルル(仮名)と名乗った。小柄で上戸彩に似てなくもない。先輩ホストに肩を抱かれながら、「前の彼は、今じゃただの友達かな〜」と、何やら恋愛話に興じていた。カラオケを歌ったりゲームの罰ゲームでウイスキーの一気飲みをしたりするうちに私とも打ち解けたのか、ルルが不意に「これ、私のお父さん」とスマホの画面を見せてきた。そのニュース画面は、写真付きで〈中国農業銀行の幹部たちが貧困地区を訪問〉との見出し。記事には太った中年男性の姿が映っていた。

 中国農業銀行といえば、中国5大銀行の一つ、総資産額で世界3位にランクインしたことのある銀行だ。彼女はそんな大銀行の幹部クラスの娘だという。半信半疑だったが、のちに彼女の大盤振る舞いに納得した。

 まだ30代前半なのにルルの金遣いは荒かった。その晩は機嫌が良かったのか、指名したホスト2人に通常支払うチップの数倍の額、合計で1万元(約15万円)を支払っていた。ヘルプでついた私も500元のチップをもらえた。酒代なども含め、ルルは一晩で2万元(約30万円)近く使った。しかも彼女は週1回のペースで来店しているらしい。典型的な富裕層二世「富二代」の彼女は、真っ赤なアウディを店のスタッフに代行運転させ帰っていった。

 夫婦で来店する客もいた。「社長」、「社長夫人」とみんなから呼ばれていた40代のペアで、20代のモデル系美人の女性を連れていた。夫婦で来店というのは少々不可解だったが、盛り上げ役の太鼓持ちを付けて酒宴を楽しもうという趣旨なのだろう。

 また既製のタバコでない、おそらく大麻を吸う女性も何人かいた。もちろん中国でも違法だ。

※SAPIO2017年5月号