モロッコとポリサリオ戦線の支配下にある西サハラを隔てる壁の近くで警備に当たっているモロッコ兵に向かい、ポリサリオ戦線の旗を掲げる男性ら(2017年2月3日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】国連安全保障理事会(UN Security Council)は28日、西サハラ(Western Sahara)問題の解決に向けた和平交渉の再開に向けた決議を全会一致で採択した。

 国連のステファン・デュジャリック(Stephane Dujarric)報道官によると、西サハラの独立を求める武装組織「ポリサリオ戦線(Polisario Front)」が27日から28日にかけてモーリタニア国境に近いゲルゲラット(Guerguerat)地区から撤退したことを、国連監視団の軍事要員が確認した。

 モロッコ政府がこの地域で舗装道路の建設を始めたことを受け、ポリサリオ戦線は昨年、ゲルゲラット地区に新たな軍事駐屯地を設置。すぐ近くにモロッコ軍の駐屯地があるため緊張が高まったが、モロッコは今年2月、国連の求めに応じてこの地域から撤退していた。

 国連安保理は、新たな和平イニシアチブと、1991年からモロッコとポリサリオ戦線の停戦監視を主な任務としている国連西サハラ住民投票監視団(MINURSO、450人規模)による平和維持活動(PKO)の1年延長を認める決議を、全会一致で採択した。

 モロッコのナッセール・ブリタ(Nasser Bourita)外相は29日、記者団に対し、ポリサリオ戦線の撤退と安保理決議を歓迎する意向を示した一方、モロッコ政府として引き続き事態を注視していく考えを明らかにした。

 ポリサリオ戦線を支持してきたアルジェリアのラムタン・ラマムラ(Ramtane Lamamra)外相は、この決議は西サハラの「(和平)プロセスを再開させる外交的成果」だとする声明を発表した。

■前国連事務総長の「失言」にモロッコ反発

 モロッコとポリサリオ戦線は資源が豊富な西サハラの領有権をめぐって1974年から戦闘状態にあったが、91年にモロッコが西サハラを実効支配下に置いた。双方はその後、国連の仲介で停戦合意に調印した。

 西サハラを不可分な領土の一部と主張するモロッコは自治権を提案したものの、ポリサリオ戦線は国連が和平案で提示した独立の是非を問う住民投票の実施を求めている。和平交渉は国連が07年に仲介に乗り出してから数回行われ、2012年に米ニューヨーク(New York)近郊で行われたのが現時点で最後の交渉だが、これまでのところ西サハラの将来の地位の解決に向けた進展はほとんどない。

 2016年に潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長(当時)は、西サハラが「占領」状態だと発言。これに猛反発したモロッコは国連要員の退去命令を出し、国連PKOを締め出す可能性も警告した。その後、国連要員の大半はモロッコに戻っている。

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)現国連事務総長は、モロッコ国王シディ・モハメド6世(Sidi Mohamed VI)と電話会談を行うとともに、先月ニューヨークの国連本部でポリサリオ戦線の指導者ブラヒム・グハリ(Brahim Ghali)氏と会い、和平交渉の再開を図っていた。
【翻訳編集】AFPBB News